2010年から2025年までの日本のみそ価格は、特に2023年以降に上昇傾向が顕著となり、2025年3月には全国平均で385.5円を記録。地方では地場ブランドや物流費の影響で高価格帯となる一方、安価な地域でも近年は原材料費やエネルギーコスト高騰により価格が急騰。今後は円安やコスト上昇の影響が懸念され、価格の安定化には物流効率化や支援策が重要とされる。
加工食品の都市別小売価格
みその高い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 山口 | 松阪 | 富山 | 大分 | 佐世保 | 松山 | 日立 | 鹿児島 | 豊橋 | 熊本 |
最新値[円] | 385.5 | 487 | 483 | 466 | 466 | 462 | 454 | 449 | 446 | 446 | 446 |
平均比[%] | 100 | 126.3 | 125.3 | 120.9 | 120.9 | 119.8 | 117.8 | 116.5 | 115.7 | 115.7 | 115.7 |
前年月同比[%] | 1.545 | 2.311 | 8.054 | 5.669 | -3.719 | 0 | -2.366 | 8.454 | 32.74 | 0 | 0.225 |
みその低い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 郡山 | 青森 | 函館 | 旭川 | 山形 | 佐賀 | 長野 | さいたま | 柏 | 松本 |
最新値[円] | 385.5 | 233 | 252 | 263 | 290 | 300 | 306 | 307 | 311 | 311 | 323 |
平均比[%] | 100 | 60.44 | 65.37 | 68.22 | 75.23 | 77.82 | 79.38 | 79.64 | 80.68 | 80.68 | 83.79 |
前年月同比[%] | 1.545 | 0 | 1.205 | -5.396 | -3.974 | -2.597 | 21.43 | -4.954 | 5.782 | 0 | 10.62 |
これまでの調味料の推移


詳細なデータとグラフ
みその現状と今後
2025年3月時点で、750g入りみその全国平均価格は385.5円となっています。過去10年以上にわたり、みその価格は比較的安定していましたが、2023年以降は明確な上昇トレンドに入りました。これは他の調味料(砂糖や塩)と同様に、インフレ圧力や物流費の上昇の影響を受けた結果と考えられます。
価格が高い都市の特徴
最新データで価格が高い上位都市は以下の通りです:
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山口(487円)
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松阪(483円)
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富山・大分(466円)
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佐世保(462円)
これらの地域では、地域ブランドや地元産の高級みその需要が背景にあると考えられます。特に山口県は前年比で2.311%の小幅な上昇にとどまりながらも、全国最高値を記録しています。大分県は前年比で3.719%の減少が見られますが、依然として高価格帯にあります。価格の高さは地元志向の強さや輸送コストの影響を反映しているとみられます。
価格が低い都市の特徴と急騰傾向
一方で価格が最も安い都市は:
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郡山(233円)
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青森(252円)
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函館(263円)
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旭川(290円)
ただしこれらの地域では前年比60~80%以上の価格上昇が観測されています。たとえば松本市では83.79%、柏市やさいたま市では80.68%の急騰が記録されています。
これは、従来みそが安価に手に入っていた地域でも価格転嫁が進んでいることを示しており、地域的な価格の均一化が進んでいる可能性があります。
価格上昇の要因
みその価格上昇には複数の要因が絡んでいます。
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原材料費の高騰大豆や米、塩といったみその主原料が国際的に価格上昇しており、とくに輸入大豆の価格上昇が響いています。
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円安の影響輸入原料への依存度が高いため、円安はコスト増を直接引き起こしています。
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物流コストの増加燃料費の上昇やドライバー不足に伴う人件費の高騰が、商品の最終価格に反映されています。
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地域ブランド・高品質志向一部地域では、伝統的な製法や国産原料にこだわった「プレミアムみそ」の人気があり、これが価格を押し上げています。
都市別の価格構造と消費者への影響
高価格都市に共通するのは、地元生産のブランドみそや、観光地向けの高付加価値商品の流通です。逆に、安価な地域ではこれまで低価格帯商品が流通していたため、上昇率が急激となっています。
価格高騰は、高齢者世帯や子育て家庭にとって大きな負担となり得るため、今後は公的な支援策や価格安定化政策の検討が必要です。
今後の見通しと政策的課題
今後のみその価格動向については、以下の点が鍵となります:
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為替の安定化
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国産大豆の生産支援
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輸送インフラの見直し
また、価格上昇が続く場合、家庭の調味料消費パターンの変化も起こり得るため、食品業界は小容量化や業務用向けの販路強化などにより対応が求められるでしょう。
おわりに
みそは日本人の「心の味」とも言える調味料です。その価格が大きく変動することは、単なる経済問題を超え、文化的・社会的課題とも言えます。今後も地域差と全体傾向の両面を丁寧に観察し、持続可能な価格と供給の維持が重要です。
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