2025年3月のみかん1kg平均小売価格は1151円で、前年同月比22.86%の大幅増加。富山や松阪、八王子など都市近郊で高価格となり、高知は60.55%と最大の増加率。価格上昇は異常気象による生産減少や物流費高騰、品質志向の高まりが主因。今後は生産技術の安定化と流通効率化で価格の安定が期待される。
小売物価統計
みかん小売りの高い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 富山 | 松阪 | 八王子 | 前橋 | 長岡 | 高知 | 金沢 | 宇都宮 | 名古屋 | 岐阜 |
最新値[円] | 1151 | 1398 | 1390 | 1375 | 1374 | 1348 | 1331 | 1331 | 1330 | 1318 | 1317 |
前年同月比[%] | +22.86 | +33.52 | +21.82 | +36.68 | +35.1 | +30.62 | +60.55 | +40.4 | +10.19 | +16.23 | +26.27 |
みかん小売りの安い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 盛岡 | 静岡 | 福山 | 佐賀 | 山口 | 徳島 | 佐世保 | 水戸 | 東大阪 | 高松 |
最新値[円] | 1151 | 634 | 826 | 876 | 902 | 918 | 928 | 940 | 948 | 951 | 958 |
前年同月比[%] | +22.86 | +18.73 | +15.2 | +17.58 | +42.27 | +17.54 | +45.45 | +68.46 | +48.36 | +5.432 | +31.23 |
みかんの推移


詳細なデータとグラフ
みかんの現状と今後
2025年3月時点でのみかん1kgの平均小売価格は1151円となり、前年同月比で22.86%の大幅な上昇が見られます。地域別にみると、富山(1398円)、松阪(1390円)、8王子(1375円)、前橋(1374円)、長岡(1348円)、高知(1331円)、金沢(1331円)、宇都宮(1330円)などが高価格帯に位置し、とくに高知の60.55%、8王子の36.68%、金沢の40.4%といった顕著な増加率が目立ちます。1方、低価格地域では盛岡(634円)、静岡(826円)、福山(876円)、佐賀(902円)、山口(918円)、徳島(928円)、佐世保(940円)、水戸(948円)などが並び、佐世保の68.46%、水戸の48.36%、徳島の45.45%といった大幅増加も見られます。価格帯に大きな差があり、地域ごとの需要や流通事情の違いが強く反映されています。
みかん価格の上昇背景と要因分析
みかん価格の上昇は複数の要因が複雑に絡み合っています。
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生産量の変動と品質向上 近年、異常気象や台風被害がみかん生産に影響を与え、生産量が減少傾向にあります。また、品質を重視した高付加価値品の供給増加により、小売価格全体が押し上げられています。
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物流費・輸送コストの増加 燃料価格の高騰や人手不足による物流コスト上昇は、遠隔地への配送コストを押し上げ、高価格地域での価格増加に直結しています。
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消費者の健康志向と高品質志向 消費者の健康意識の高まりにより、産地ブランドやオーガニック、糖度保証付きなど品質が高いみかんへの需要が増え、価格が上昇しやすい構造となっています。
地域別価格差の要因と特徴
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高価格地域の事情 富山、松阪、8王子、前橋といった地域では都市圏に近く、流通経路の多様化や小売業の競争激化により高品質商品を扱う店舗が多く、平均価格を押し上げています。高知の60%以上の価格増加は、地元産みかんのブランド価値向上と輸送費増加が複合的に影響しています。
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低価格地域の特徴 盛岡や静岡、福山などは比較的地元産の流通量が多く、流通距離が短いためコストが抑えられ価格が低めです。ただし、佐世保や水戸、徳島などでも高い増加率が観察され、流通コスト上昇や需要変動が地域内価格を押し上げています。
みかん価格の課題と今後の懸念点
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価格上昇による消費者負担の増大 急激な価格上昇は消費者の購買意欲を減退させる恐れがあり、需要減少や代替果物へのシフトを引き起こす可能性があります。
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生産者の収益と価格のバランス 価格上昇は1方で生産者の利益改善に寄与しますが、消費者価格とのバランスが崩れると長期的には市場縮小リスクを伴います。
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気候変動による生産リスクの増大 今後も異常気象の頻発が予測され、安定生産が困難になるリスクは依然として高いままです。
今後の価格動向と展望
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持続可能な生産体制の確立 気候変動に強い品種改良や栽培技術の進展により、生産量の安定化と品質向上が期待されます。
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物流効率化と販売戦略の多様化 輸送コスト削減やデジタル販売プラットフォームの活用で流通効率を高め、価格安定化や消費者への価格負担軽減が見込まれます。
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消費者ニーズの細分化への対応 高付加価値商品と低価格商品を両立し、多様な顧客層を取り込む戦略が必要とされます。
総じて、みかんの価格は今後も品質向上や流通効率化により上昇圧力はあるものの、適切な市場調整によって安定的に推移することが期待されます。
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