2025年4月のまぐろ100gの平均小売価格は459.7円で、前年比では約4.3%下落しています。高価格地域と低価格地域の差は大きく、地域によって最大510円の開きがあります。価格下落の背景には為替や国際需給の変化、流通改善があり、今後は養殖技術や円相場が価格を左右すると予想されます。
小売物価統計
まぐろ小売りの高い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 福島 | 熊本 | 藤沢 | 山形 | 宇都宮 | 大分 | 静岡 | 高松 | 伊丹 | 徳島 |
最新値[円] | 459.7 | 820 | 687 | 584 | 579 | 572 | 549 | 536 | 531 | 529 | 525 |
前年同月比[%] | -4.273 | +3.275 | +0.146 | -1.531 | +6.518 | -4.355 | -8.376 | -8.131 | -4.685 | -7.733 |
まぐろ小売りの安い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 水戸 | 府中 | 秋田 | 熊谷 | 相模原 | 郡山 | 奈良 | 柏 | 長野 | 富士 |
最新値[円] | 459.7 | 310 | 336 | 341 | 372 | 376 | 383 | 384 | 386 | 387 | 390 |
前年同月比[%] | -4.273 | +10.71 | -15.37 | -10.97 | -20.17 | -13.36 | -6.585 | -0.518 | -2.764 | -3.465 |
まぐろの推移


詳細なデータとグラフ
まぐろの現状と今後
2025年4月時点における日本全国のまぐろ100gの平均小売価格は459.7円となっており、魚介類の中でも比較的高価な位置づけが続いています。価格の最も高い地域は福島(820円)で、他に熊本(687円)、藤沢(584円)、山形(579円)、宇都宮(572円)などが高値圏に位置しています。これらの地域では、地元需要の強さ、品種の違い(本まぐろや中トロ中心の販売)、卸ルートの限定性が影響していると考えられます。
1方で、価格が安い地域は水戸(310円)、府中(336円)、秋田(341円)などで、全体として都市圏や流通の集約地に近いエリアでは低価格で販売される傾向が見られます。価格の差は510円(福島と水戸)にも及び、まぐろという商品の地域間格差が極めて大きいことがわかります。
過去からの推移と2025年の価格下落
平均価格は前年比で-4.273%と減少しており、ここ数年の価格上昇傾向から1転して下降局面に入りつつあります。これは以下の複合的な要因が背景にあると推察されます。
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為替円高の進行:まぐろの多くは輸入に依存しているため、為替レートが円高に振れると輸入コストが下がり、小売価格の引き下げに繋がります。
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国際需給の緩和:アメリカや中国などの高級魚市場での需要の1時的な鈍化、または供給の回復が、グローバル価格を押し下げた可能性があります。
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流通改善:コロナ禍以降、冷凍物流や鮮魚管理技術の向上により、遠隔地への安定供給が進んだ結果、価格が全国的に下方修正されやすくなったとも言えます。
ただし、すべての地域で価格が下がっているわけではなく、福島(+3.275%)、宇都宮(+6.518%)など1部地域では価格が上昇しており、地元需要や流通構造の違いが価格維持を後押ししていると考えられます。
まぐろ市場の課題と構造的問題
まぐろ価格には複数の構造的課題があります。
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乱獲と資源管理問題:クロマグロを中心に、国際的な資源管理の強化が進んでおり、漁獲制限が設けられています。これにより、供給量が制限され、価格が不安定化する可能性があります。
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消費者の節約志向:物価上昇や可処分所得の低下により、まぐろのような高級魚に対する購買意欲が鈍りつつあります。これに対応するため、安価な赤身系商品や解凍まぐろの販売が広がっています。
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天然 vs 養殖の対立:養殖まぐろの技術が向上したことにより、供給が安定し価格がやや下がる傾向がありますが、品質への信頼性や天然信仰の根強さが1部価格の2極化を招いています。
今後の価格見通しと期待
今後のまぐろ価格は、複数の要因により安定的な推移を示す可能性が高い1方で、短期的には再び変動するリスクも内包しています。
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養殖技術の進化とコスト低下 完全養殖の成功や餌の効率化により、中長期的には価格の安定化と若干の下落圧力が期待されます。
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為替動向と輸入コスト 今後円安傾向が強まる場合、輸入まぐろの価格上昇圧力がかかる可能性があります。反対に円高が続けば、小売価格も抑えられるでしょう。
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国内消費の変化 高齢化社会における魚離れが指摘される中で、まぐろは刺身需要の中核として1定の支持を維持しています。特に手軽さと健康イメージが再評価されれば、安価帯商品の需要が拡大し、平均価格を下支えする可能性もあります。
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