日本のほうれん草の収穫量は2023年に206.8ktとなり、長期的には減少傾向にあります。群馬や埼玉、千葉などの首都圏近郊が主要産地ですが、気候変動や人手不足が課題です。近年は茨城や宮崎が増産傾向にあり、スマート農業や若者の就農支援による再興が期待されています。今後は環境配慮型の持続可能な農業への移行が鍵を握ります。
野菜収穫量のデータとグラフ
ほうれん草収穫量の最大と最新
全国 | 群馬 | 埼玉 | 千葉 | 茨城 | 宮崎 | 岐阜 | 福岡 | |
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最新 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 |
最大期 | 1987年 | 1988年 | 1978年 | 2008年 | 2016年 | 2014年 | 1992年 | 1987年 |
最新値[kt] | 206.8 | 22.4 | 20.5 | 20.1 | 18.9 | 14.4 | 10.7 | 8.87 |
最大値[kt] | 400.1 | 38.5 | 50.4 | 41.5 | 19.8 | 19 | 13.8 | 15.3 |
前年比[%] | -1.43 | 0.4484 | -5.963 | -2.899 | 4.42 | 18.03 | -2.727 | -5.032 |
全体比[%] | 100 | 10.83 | 9.913 | 9.72 | 9.139 | 6.963 | 5.174 | 4.289 |
これまでの推移


詳細なデータとグラフ
ほうれん草についての推移と展望
日本のほうれん草の収穫量は、1970年代の高度経済成長期を経て徐々に拡大し、1980年代後半には安定的な供給体制が確立されました。冷涼な気候に適した作物であり、露地栽培や施設栽培の両方が可能なため、全国各地で生産されてきました。しかし、近年は気候変動や農業従事者の高齢化、労働力不足などの要因により、生産量の伸びは頭打ちとなり、2023年の全国収穫量は206.8kt(前年比-1.43%)と減少傾向にあります。
県別生産量の現状と特徴(2023年)
2023年の主要産地は以下の通りです:
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群馬県:22.4kt(全国比10.83%、前年比+0.45%)→ 首都圏への輸送が容易で施設栽培が盛ん。安定した供給体制が強み。
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埼玉県:20.5kt(9.91%、-5.96%)→ 露地栽培と施設栽培が共存。気温変動の影響を受けやすい。
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千葉県:20.1kt(9.72%、-2.9%)→ 主に冬春どり。近年は異常気象により品質低下が課題。
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茨城県:18.9kt(9.14%、+4.42%)→ 農業技術の高度化により、生産量を拡大。
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宮崎県:14.4kt(6.96%、+18.03%)→ 温暖な気候を活かした冬季栽培が強み。需要期に出荷できる利点が大きい。
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岐阜県:10.7kt(5.17%、-2.73%)→ 内陸の冷涼な気候を活かした栽培。輸送コストはやや高め。
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福岡県:8.87kt(4.29%、-5.03%)→ 九州圏での安定供給を支える一方、気温の上昇による品質課題がある。
収穫量変動の背景と課題
近年のほうれん草収穫量の減少には以下の要因が関係しています:
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気候変動:高温や少雨により、生育不良や病害が発生しやすい。
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人手不足:高齢化と若年層の農業離れにより、収穫作業の継続が困難。
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価格競争:輸入野菜や他の葉物野菜との競合で、生産者の収益性が低下。
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流通の硬直化:中間流通に依存した体制が変革を妨げている。
今後の生産動向と展望
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スマート農業の導入 センサーやAI技術を活用した精密農業により、収穫効率や品質管理の向上が期待されます。
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産地リレー体制の構築 北から南への季節リレーにより、安定供給体制の強化が進む見込みです。
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若年層の参入支援 農業法人の設立や新規就農支援策を通じて、生産の持続可能性を高める動きがあります。
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環境対応型栽培の推進 有機栽培や省農薬の取り組みが、消費者の信頼獲得につながると見られます。
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