2025年5月時点のぶどう卸売価格データから、地域ごとの価格差とその背景を分析。高価格帯では金沢市が10,150円/kgで突出し、札幌市や東京都が続く。一方、沼津市や秋田市、青森市では1,000円以下の低価格も見られ、産地や物流条件が影響している。価格の急上昇や下降の要因、今後の需給予測を踏まえた価格推移の展望も丁寧に解説。
ぶどうの卸売り市場価格
ぶどうの高い順
金沢市 | 札幌市 | 東京都 | 仙台市 | 大阪市 | 横浜市 | 高松市 | 神戸市 | 名古屋市 | 京都市 | |
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最新 | 2025年5月 | 2025年5月 | 2025年5月 | 2025年5月 | 2025年5月 | 2025年5月 | 2025年5月 | 2025年5月 | 2025年5月 | 2025年5月 |
最大期 | 2025年5月 | 2016年4月 | 2023年4月 | 2025年5月 | 2020年3月 | 2025年5月 | 2024年4月 | 2017年4月 | 2025年4月 | 2021年4月 |
最新値[円/kg] | 10150 | 6892 | 5892 | 5808 | 5369 | 5250 | 4522 | 4518 | 3894 | 3846 |
最大値[円/kg] | 10150 | 19940 | 6565 | 5808 | 17710 | 5250 | 5832 | 5940 | 6348 | 8424 |
前月比[%] | +168.6 | +1144 | +10.79 | +85.44 | -34.57 | +678.4 | +94.06 | +38.49 | -38.66 | +31.32 |
前年同月比[%] | +21.87 | +1.927 | +7.4 | +27.1 | +6.543 | +37.74 | +47.59 | +20.92 | -3.454 | -6.537 |
ぶどうの安い順
熊本市 | 山形市 | 宮崎市 | 神戸市 | 新潟市 | さいたま市 | 岡山市 | 秋田市 | 沼津市 | 青森市 | |
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最新 | 2021年12月 | 2021年12月 | 2023年12月 | 2025年5月 | 2023年12月 | 2021年12月 | 2023年12月 | 2021年12月 | 2016年12月 | 2023年12月 |
最大期 | 2016年4月 | 2016年5月 | 2019年4月 | 2017年4月 | 2023年4月 | 2014年4月 | 2014年4月 | 2015年4月 | 2014年5月 | 2022年5月 |
最新値[円/kg] | 2839 | 1864 | 2325 | 4518 | 1997 | 2525 | 1614 | 1255 | 603 | 1117 |
最大値[円/kg] | 5854 | 3072 | 6462 | 5940 | 10130 | 3060 | 7087 | 4500 | 2820 | 3926 |
前月比[%] | +43.02 | +54.3 | +17.66 | +38.49 | +24.19 | +19.9 | +3.263 | +10.67 | -47.93 | -3.122 |
前年同月比[%] | +23.7 | +17.53 | +20.03 | +20.92 | +11.56 | +9.735 | -0.3704 | +11.16 | +26.68 | +4.686 |
ぶどうの推移


その他のデータとグラフ
ぶどうの価格についての推移と展望
日本の卸売市場におけるぶどう価格は、季節や産地の収穫状況、需要の変動に強く左右される果物の代表例です。2010年から2025年までのデータを見ると、年々平均価格は上昇傾向にあり、高級品種の拡大や贈答用需要の強化が1因と考えられます。また、2025年5月の全国平均価格は4,978円/kgと比較的高水準に位置しています。
地域別価格ランキングとその背景
2025年5月の最新価格では、金沢市が10,150円/kgと全国最高値を記録し、札幌市(6,892円/kg)や東京都(5,892円/kg)を大きく引き離しています。この高値の背景には、流通量の少なさ、品質の高さ、あるいは競争市場での贈答需要の集中があると推測されます。
1方で、低価格帯の地域では、沼津市(603円/kg)、青森市(1,117円/kg)、秋田市(1,255円/kg)などが目立ちます。これらの地域は、地元での消費が主であることや、大都市圏に比べ市場規模が小さく、価格形成力が低いことが反映されていると考えられます。
前月および前年比から見える異常な変動
前月比で見ると、札幌市(+1144%)、横浜市(+678.4%)、金沢市(+168.6%)など異常な上昇が確認されます。これは新物の入荷遅れや、1定期間の取扱停止後に高値で取引された可能性が高いです。1方、名古屋市(-38.66%)や沼津市(-47.93%)では顕著な下落が見られ、市場での過剰在庫や品質劣化の影響があったと予想されます。
前年比では、高松市(+47.59%)、横浜市(+37.74%)、仙台市(+27.1%)などで安定的な上昇傾向が見られ、地域ブランドや特産品化の取り組みが奏功している可能性も示唆されます。
価格の高い地域の特徴と傾向
金沢市や札幌市、東京都などの高価格地域では、以下のような共通点が見られます:
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高所得層の市場存在:贈答や高級志向の需要が価格を支える
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高品質の選果基準:卸売市場で高ランクの果実が流通しやすい
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輸送コストや希少性:産地が遠く物流費が加味されている
これらの要因により、同じ品種でも地方と都市部では大きな価格差が生まれる構造があります。
価格の低い地域の特徴と課題
沼津市、青森市、秋田市などの低価格地域は、以下のような背景を持っています:
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産地直送・地産地消の比率が高い
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贈答需要より日常消費に重点
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出荷規模の小ささと販路の限定
市場価格に反映されにくいこれらの地域では、地域内経済への貢献が重視されており、価格そのものは低く抑えられる傾向があります。
今後の価格推移の予想と課題
今後も、以下の要因によってぶどう価格は変動し続けると考えられます:
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気候変動による収量の不安定化
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輸送コストの上昇と人手不足
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インバウンド需要や海外輸出の影響
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国内の高齢化による需要構造の変化
高価格帯と低価格帯の格差はさらに広がる可能性があり、政策的な支援や産地間連携が必要となる場面も増えるでしょう。
まとめ
ぶどうの卸売価格は地域差が非常に大きく、流通条件や市場特性、地元需要によって大きく左右されます。高価格地域は贈答・高級需要に支えられ、低価格地域は地元消費の堅実な需要でバランスを取っています。今後の価格動向には、気候変動や人手不足への対応、さらにデジタル化を含む流通改善が鍵となるでしょう。
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