2016年以降、だいこん漬の1kgあたりの小売価格は全国的に上昇傾向にあり、2025年3月には平均893.5円に達しています。特に地方都市や都市部では価格差が大きく、高価格地域では輸送費や高付加価値品が影響しています。一方、低価格地域では急激な価格上昇が見られ、物価の均衡化が進んでいます。背景には原材料費やエネルギーコストの上昇、気候変動などがあり、今後も価格の変動が予想されます。
加工食品の都市別小売価格
だいこん漬の高い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 藤沢 | 宮崎 | 福井 | 鹿児島 | 徳島 | 松江 | 山口 | 富山 | 横浜 | 大津 |
最新値[円] | 893.5 | 1276 | 1221 | 1194 | 1185 | 1169 | 1146 | 1146 | 1114 | 1108 | 1079 |
平均比[%] | 100 | 142.8 | 136.7 | 133.6 | 132.6 | 130.8 | 128.3 | 128.3 | 124.7 | 124 | 120.8 |
前年月同比[%] | 7.084 | 0 | -1.612 | 62.23 | 12.75 | 9.049 | 8.832 | 0.615 | -5.513 | 10.91 | 29.07 |
だいこん漬の低い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 柏 | 岡山 | 八戸 | 松阪 | 津 | 和歌山 | 甲府 | 長岡 | 広島 | 長野 |
最新値[円] | 893.5 | 535 | 572 | 577 | 579 | 591 | 606 | 625 | 631 | 659 | 659 |
平均比[%] | 100 | 59.88 | 64.02 | 64.58 | 64.8 | 66.14 | 67.82 | 69.95 | 70.62 | 73.76 | 73.76 |
前年月同比[%] | 7.084 | 0 | 0 | 12.26 | 5.85 | 3.866 | 8.408 | 0 | 15.15 | 2.329 | -2.946 |
これまでの漬物の推移


詳細なデータとグラフ
だいこん漬の現状と今後
2016年1月から2025年3月までの統計において、だいこん漬の価格は年を追うごとにじわじわと上昇してきました。2025年3月時点の全国平均価格は893.5円で、過去の水準と比べると高い価格帯にあります。この上昇傾向は、近年の加工食品全体に見られる傾向と一致しており、原材料費・エネルギーコスト・人件費の上昇が背景にあります。
地域別の価格差とその特徴
● 高価格帯地域(上位10都市):
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藤沢(1276円)
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宮崎(1221円)
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福井(1194円)
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鹿児島(1185円)
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徳島(1169円)
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松江(1146円)
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山口(1146円)
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富山(1114円)
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横浜(1108円)
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大津(1079円)
高価格帯の地域では、地方中核都市や輸送コストのかかる地域が多く、特に南九州や日本海側で価格が高めです。藤沢や横浜などの都市部では、都市生活者向けの高品質品やブランド漬物が価格を押し上げていると考えられます。
● 低価格帯地域(下位10都市):
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柏(535円)
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岡山(572円)
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八戸(577円)
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松阪(579円)
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津(591円)
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和歌山(606円)
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甲府(625円)
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長岡(631円)
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広島(659円)
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長野(659円)
安価な地域では、生産地に近い都市や漬物文化の根強い地方都市が多く、地元供給や比較的安価な加工ラインの存在が価格を抑える要因となっています。
価格上昇の背景と原因
だいこん漬の価格上昇には、以下の複合的な要因が作用しています。
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原材料費の上昇:大根の収穫量が天候不順で減少し、価格が上昇する傾向にある。特に冬場の寒波や夏場の異常気象の影響が大きい。
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人件費の高騰:加工・包装工程を担う労働力の確保が難しくなり、製造コストが増加。
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エネルギー・物流費の増加:冷蔵保管や輸送費の上昇が、価格に直接影響している。
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パッケージ品質の向上:消費者の健康志向や衛生面への関心が高まり、保存料無添加・減塩などの高付加価値商品が増えている。
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円安の影響:原料の一部を海外から調達している場合、円安がコスト増の要因に。
注目すべき都市別変動率とその解釈
価格の変動率を見ると、次のような傾向が浮かび上がります。
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福井(+62.23%)や大津(+29.07%)など、急騰する地域では、特定の事業者の撤退や供給体制の変化、輸送費の増大が影響していると考えられます。
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一方、宮崎(-1.612%)や富山(-5.513%)では減少が見られます。これは、価格が一時的に高騰した後の調整や、地域内での競争激化によるものと推察されます。
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柏(+59.88%)〜長野(+73.76%)までの低価格帯都市の増加率が極めて高い点も注目に値します。これは、物価全体の上昇に伴って「安かった地域が急速に追いついてきた」現象であり、均衡化の動きとも言えます。
今後の展望と消費者への影響
今後もだいこん漬を取り巻く価格環境は不安定なまま続く可能性があります。特に農産物価格が天候の影響を強く受ける中、持続的な供給体制の強化や、加工・流通の効率化が業界全体の課題となるでしょう。
消費者にとっては、家計への影響も無視できないレベルに近づいており、購入時の比較検討や、地元産品へのシフト、まとめ買いなどによる節約行動がより重要になってきます。
まとめ
だいこん漬の価格は全国的に上昇傾向にあり、地域間格差も顕著です。特に元々安価だった地域での増加率が著しく、これまでの価格体系に変化が生じています。気候変動やコスト構造の変化に加え、消費者ニーズの変化も今後の価格形成に影響を与えると予想されます。
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