2025年4月のたまねぎ1kg平均価格は362円で、前年比+1.29%。地域間で価格差が大きく、金沢や甲府などで高騰が顕著。気象変動や生産者減少が今後の価格に影響を与える見込み。流通の工夫と担い手確保が安定供給の鍵。
小売物価統計
たまねぎ小売りの高い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
名称 | 平均 | 盛岡 | 立川 | 伊丹 | 金沢 | 甲府 | 鳥取 | 仙台 | 八王子 | 神戸 | 宇都宮 |
最新値[円] | 362 | 487 | 435 | 423 | 415 | 410 | 409 | 408 | 403 | 401 | 400 |
前年同月比[%] | +1.289 | -3.564 | +3.325 | +20.17 | +21.35 | +22.75 | +9.946 | +16.24 | -3.125 | +12.64 | -1.961 |
たまねぎ小売りの安い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
名称 | 平均 | 津 | 函館 | 熊谷 | 長岡 | 秋田 | 徳島 | 川口 | 水戸 | 高松 | 佐世保 |
最新値[円] | 362 | 262 | 283 | 296 | 306 | 307 | 310 | 311 | 319 | 319 | 321 |
前年同月比[%] | +1.289 | +18.02 | -20.51 | -1.987 | -17.96 | -8.358 | +0.977 | +3.667 | -9.117 | +16 | +18.01 |
たまねぎの推移


詳細なデータとグラフ
たまねぎの現状と今後
2025年4月時点での日本のたまねぎ1kgの平均小売価格は362円で、前年同月比+1.289%と緩やかな上昇にとどまっています。しかし、地域別に見ると、最も高い盛岡で487円、最も安い津で262円と、2倍近い差が生じています。
特に金沢(+21.35%)、甲府(+22.75%)など中部・北陸エリアで大きな値上がりが見られる1方、函館(-20.51%)、長岡(-17.96%)などでは大幅な下落となっています。この価格差の背景には、地域ごとの需給バランス、輸送コスト、気候条件などが大きく関与しています。
2010年以降の価格動向と変動要因
たまねぎの価格は、2010年から2020年前半までは300円前後で推移することが多く、比較的安定していました。しかし、2021年以降、天候不順や国際物流の停滞、肥料価格の高騰などが影響し、1時的に400円台まで急騰する局面もありました。
特に2022年には、主産地である北海道での干ばつや高温障害が深刻化し、全国的な供給不足を引き起こしました。その後2023年以降はやや落ち着き、再び300円台前半に戻りつつありますが、依然として価格の上下動は続いています。
地域別価格差の背景
価格上位の盛岡、立川、伊丹などでは、都市圏での需要増や流通コストの高さ、地場生産の乏しさが影響しています。また、甲府や金沢といった地域では、地元農家の減少や高齢化による供給不安定化が価格を押し上げていると見られます。
1方で、価格下位の津、函館、熊谷などでは、比較的安定した供給体制や地域直販、道の駅などの普及により、低価格が維持されています。北海道産の玉ねぎが多く流通する道内・東北の1部では、物流距離の短さが価格に反映されやすい特徴もあります。
今後の価格推移と懸念点
今後のたまねぎ価格は、以下のような要因によって大きく左右されます:
-
天候リスクの常態化たまねぎは気象条件に左右されやすい作物で、極端な高温・長雨などは生育不良を招きます。近年は異常気象が常態化しつつあり、不作による価格高騰リスクが高まっている点が懸念されます。
-
輸入玉ねぎの増減たまねぎは中国、アメリカ、ニュージーランドなどからの輸入も行われていますが、円安や世界的物流不安、農業貿易の制限などで安定的な輸入に陰りが出る可能性があります。
-
生産者の減少と担い手問題北海道や佐賀などの主産地では高齢化が進み、作付面積の縮小が顕著です。若年就農者の育成や大規模化、スマート農業による生産性向上が求められます。
-
消費者の選択行動の変化物価全体の上昇が続く中で、消費者はたまねぎを買い控えたり、冷凍・カット野菜に切り替える傾向も見られています。これが需要面に与える影響も無視できません。
政策と市場の対応の方向性
政府は食料安全保障の観点から、国産野菜の安定供給と価格平準化を目指した施策を強化しています。たとえば、収穫時期の分散化や補助金制度、需給調整機構の活用などが推進されています。
また、小売側でも「見切り品」や「規格外品の販売」を通じて、価格を抑える努力が進められています。今後は地域農業と連携し、産直市場や農協を通じた流通経路の多様化も求められるでしょう。
コメント