2025年最新版|たい100g価格の地域差と価格上昇の背景と見通し

食料品



2025年4月のたい100gの平均価格は640.9円で、前年比3.6%の上昇。富山や函館など一部地域では大幅な高騰が見られる一方、佐賀や那覇では安値が続いており、地域差が顕著です。養殖依存、物流コスト増加、消費者の嗜好変化などが価格形成に影響。今後は技術革新やブランド化が安定供給と価格維持の鍵となります。

小売物価統計

たい小売りの高い都市

2025年4月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
名称 平均 山口 函館 八王子 富山 松山 北九州 旭川 長岡 神戸
最新値[円] 640.9 775 757 753 745 744 742 740 735 729 729
前年同月比[%] +3.642 +3.471 +15.57 +7.88 +44.94 +3.19 +6.916 +3.787 +1.1 +1.674

たい小売りの安い都市

2025年4月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
名称 平均 佐賀 高知 那覇 和歌山 水戸 秋田 福山 鳥取 小山 盛岡
最新値[円] 640.9 100 123 187 423 518 519 554 573 585 588
前年同月比[%] +3.642 -9.091 +5.128 -13.82 +12.5 +12.12 +13.57 +1.28 -18.26 -2.985 +2.977

 

たいの推移

たい小売り価格
最新のデータ

 

詳細なデータとグラフ

 

たいの現状と今後

2025年4月の時点で、たい(鯛)100gの全国平均小売価格は640.9円と、魚介類の中でも比較的高価格帯に位置しています。特に高値を記録しているのは山口(775円)、函館(757円)、8王子(753円)、富山(745円)などで、北陸・北海道・西日本の沿岸都市に集中しています。

これに対し、佐賀(100円)、高知(123円)、那覇(187円)など、9州南部や沖縄では極端に安い価格が見られます。最も高い山口と最も安い佐賀の差は675円と非常に大きく、同じ「たい」という分類でありながら、地域ごとの価格差が著しいことが特徴です。

このような価格格差は以下の要素によって左右されていると考えられます:

  • 品種の違い(天然 vs 養殖、真鯛 vs 他種)

  • 地元水揚げの有無と輸送距離

  • 百貨店中心か地場スーパー中心かといった販売チャネルの違い

  • 地域の消費傾向(祝い事・祭事にたいを使う文化の有無)


価格の過去推移と2025年の上昇傾向

2025年4月の全国平均価格は前年同月比で+3.642%の上昇となっており、たいは堅調に価格を維持・上昇させていることがわかります。中でも富山(+44.94%)、函館(+15.57%)、秋田(+13.57%)などは大幅な価格上昇が見られます。

この背景には以下の要因が関係していると考えられます:

  • 天然物の減少と養殖の限界:漁獲制限や海水温の変化などによって天然たいの水揚げが減り、供給量が全体として低下。1方で、養殖たいも飼料コストの上昇や病害リスクの増大により、価格の抑制が難しくなっています。

  • 祝い需要の復活:コロナ禍後の結婚式や各種祝事の回復に伴い、「めでたい」象徴としての需要が持ち直していることが、価格の押し上げに繋がっている可能性があります。

  • 物流・流通コストの増加:原油価格の上昇に伴う輸送コストの増加が、地方間での価格差拡大に拍車をかけています。

1方、佐賀(-9.091%)、那覇(-13.82%)、鳥取(-18.26%)など、1部地域では価格が大幅に下落しており、これは地場流通の過剰供給、需要減退、または品質の異なるたい(例:冷凍・解凍品、他種)を含めた販売が影響していると推察されます。


たい価格の構造的課題

たい市場には、以下のような中長期的な課題があります。

  • 養殖に頼る構造:現在、日本国内で消費されるたいの7~8割は養殖です。養殖の増加は安定供給には貢献するものの、気候変動や飼料価格(特に輸入魚粉・大豆など)の影響を受けやすく、コスト変動が激しいという問題があります。

  • 品種の不透明化:安価なたいとして販売されているものの中には、いわゆる「レンコダイ」や「チダイ」など、別種の鯛が混在していることもあり、消費者の信頼を損ねかねません。

  • 販路の地域偏重:高価格帯の地域では百貨店や高級スーパー、低価格帯の地域では地元密着型スーパーというように、販売チャネルによる価格差が大きく、需給のアンバランスさを是正しにくい構造があります。


今後の価格動向と期待

今後のたい価格は、以下のような要素に左右されると考えられます。

  • 養殖技術の革新:完全養殖や無投薬飼育の推進、陸上養殖などの技術革新が、長期的には供給の安定と価格の安定化に寄与するでしょう。

  • 地域ブランド化の進展:愛媛県の「宇和島たい」や3重県の「的矢鯛」など、地域ブランドを持つ養殖たいの価値が再評価され、消費者に品質を明示することで中価格帯の安定需要が期待されます。

  • 輸出促進と国内価格の連動:近年は日本産たいの輸出も活発化しており、海外需要の高まりが国内市場価格に影響を与える場面も増えるでしょう。とくに香港や台湾では祝い魚として高価格で取引される傾向があり、国内でも価格が高止まりする可能性があります。

  • 消費者の価値意識変化:量より質を重視する傾向が強まる中で、信頼性の高い産地・品質管理がなされたたいに対しては、多少価格が高くても受け入れられる市場形成が進むと予想されます。

 

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