せんべいの小売価格推移と今後の展望|物価上昇と二極化の兆し

和菓子



日本のせんべい100gの平均小売価格は2025年4月時点で162.2円となり、前年比+8.76%と急上昇しています。地域別には旭川や那覇が高価格、佐賀や和歌山が低価格帯ですが、いずれも実質値上げが進行。背景には原材料費や人件費の上昇があり、今後も価格上昇傾向が継続し、高級志向と節約志向による二極化が進むと予想されます。

小売物価統計

せんべい小売りの高い都市

2025年4月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
名称 平均 旭川 那覇 富山 松山 日立 高松 長崎 松阪 函館 松本
最新値[円] 162.2 197 192 190 189 189 187 184 184 184 182
前年同月比[%] +8.76 +17.26 +12.28 +11.76 +18.13 +6.25 +5.143 +10.18 +11.52 +16.67

せんべい小売りの安い都市

2025年4月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
名称 平均 佐賀 和歌山 大津 鳥取 宇部 姫路 浦安 府中 高知
最新値[円] 162.2 109 116 121 124 129 131 135 137 140 140
前年同月比[%] +8.76 -5.217 +4.505 -3.968 +9.735 +7.377 +18.42 +4.58 +6.061 +19.66

 

せんべいの推移

せんべい小売り価格
最新のデータ

 

詳細なデータとグラフ

 

せんべいの現状と今後

せんべいは、日本の伝統的な米菓の1つであり、老若男女に親しまれてきました。100gあたりの価格は小さい数字に見えても、物価や原材料費、地域差、嗜好の変化など、多くの要素を反映しています。2025年4月時点で全国平均は162.2円で、2010年からの長期的な価格推移には注目すべきポイントが多くあります。


これまでの価格推移と背景

過去15年におけるせんべいの小売価格は、緩やかに上昇してきました。特に近年の上昇率は顕著で、前年同月比+8.76%という数字からも、直近でのインフレ圧力が読み取れます。背景には以下のような要因が考えられます。

  • 原材料価格の上昇:せんべいの主成分である米、醤油、海苔などの価格が上昇傾向にあります。特に国産米は天候不順や農家の減少などで高騰しやすい。

  • エネルギーコストの増加:焼成や包装にはガス・電力が使われており、光熱費の上昇は製造原価に直結します。

  • 人件費の増加:地方でも最低賃金の引き上げが影響し、工場の製造・配送コストが上昇しています。


地域別価格差とその意味

最新データでは、旭川(197円)、那覇(192円)、富山(190円)などが高価格帯である1方、佐賀(109円)、和歌山(116円)、大津(121円)などが低価格帯です。

  • 高価格地域の特徴:旭川や富山などは、流通コストがかかりやすい地域であり、加えて地場のブランド品や職人技術を取り入れた高級せんべいの比率が高いことも影響しています。

  • 低価格地域の特徴:佐賀や和歌山などでは、ローカルスーパーのPB(プライベートブランド)商品の販売比率が高く、価格競争が起きやすい傾向があります。

興味深いのは、価格が高くても前年比で大きく上昇している(旭川+17.26%、松山+18.13%など)地域が複数存在する点です。高級化・ブランド化が進む1方で、地方の安価市場も底上げされつつあることを示しています。


近年の課題と消費者の反応

  • 消費者の節約志向とのギャップ:日常的に購入されるせんべいに対して、価格が上がりすぎると「贅沢品」と見なされる可能性もあります。100gで160円超という価格は、1部の消費者にとって心理的抵抗を生む水準になりつつあります。

  • 量の減少=実質値上げ:価格が据え置かれていても、内容量が減っているケースも多く、実質的な価格上昇(いわゆるステルス値上げ)が進行しています。

  • 高級化と2極化:手焼きせんべいや地域限定商品、包装の高級化などにより「ギフト向け」「観光土産」としての価値も強調されるようになっています。


今後の見通しと期待

今後、せんべいの価格は中長期的にさらに上昇すると見られます。理由は以下のとおりです。

  • 持続的な原材料価格の上昇:国内米の生産量は今後も減少が見込まれており、輸入に頼るのは困難です。

  • 物流・人手不足の構造問題:配送ドライバーや工場労働者の確保が難しく、製造から販売までのコストがさらに上昇するでしょう。

  • 高付加価値商品の増加:今後は「安価な日常菓子」としてよりも、「こだわりの嗜好品」としての側面が強くなり、価格が上がっても受け入れられる層がターゲットとなる傾向が強まるでしょう。

1方で、地方のディスカウント店舗や大手スーパーは、引き続き廉価なPB商品を展開し、低価格帯を維持する努力が続けられると見られます。今後の消費者層の動向次第では、せんべい市場は高価格帯と低価格帯の2極化が進行する可能性が高いです。

 

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