日本のじゃがいも栽培は2023年時点で71.2千haで、特に北海道が全体の68%以上を占めています。鹿児島や長崎は時期差出荷で重要な役割を果たし、近年は加工用需要も拡大中です。全国的には微減傾向が続いており、高齢化や天候リスク、労働力不足などが課題です。今後は機械化や地域ブランドの強化、若手農業者の参入支援が鍵となります。
野菜栽培のデータとグラフ
じゃがいも栽培の最大と最新
全国 | 北海道 | 鹿児島 | 長崎 | 茨城 | 千葉 | 福島 | 長野 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
最新 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 |
最大期 | 1973年 | 1986年 | 2002年 | 1979年 | 1989年 | 1974年 | 1973年 | 1973年 |
最新値[kha] | 71.2 | 48.5 | 4.41 | 3.07 | 1.59 | 1.08 | 0.884 | 0.758 |
最大値[kha] | 147.1 | 77.1 | 4.66 | 8.57 | 2.4 | 3.57 | 5.13 | 3.16 |
前年比[%] | -0.2801 | 0 | 0.9153 | -0.9677 | -2.454 | -3.571 | -4.946 | -6.65 |
全体比[%] | 100 | 68.12 | 6.194 | 4.312 | 2.233 | 1.517 | 1.242 | 1.065 |

これまでの推移


詳細なデータとグラフ
じゃがいも栽培についての推移と展望
じゃがいもは、日本の食卓で広く親しまれている主要な根菜作物の一つです。加工品(ポテトチップスや冷凍食品)向けの需要も高く、農業の中でも特に経済的な重要性があります。本稿では1973年から2023年までのデータをもとに、日本のじゃがいも栽培の全国的な動向と都市別の特徴、今後の見通しについて解説します。
全国的な栽培面積の動向
2023年時点での全国のじゃがいも栽培面積は約71.2千haで、根菜類の中で最大規模を誇ります。しかし、前月比では-0.2801%とわずかに減少しており、長期的には高齢化、担い手不足、農地減少の影響で微減傾向が続いています。それでも、安定した需要があるため、他の野菜に比べると持ち直しやすい作物でもあります。
主要地域別の栽培特徴
■ 北海道(48.5kha/全国の68.12%)
じゃがいも生産の圧倒的中心地であり、広大な耕地と機械化によって大規模生産が可能です。加工用需要の高まりや安定した輸送体制を背景に、国内外への出荷も盛んです。栽培面積全体の7割近くを占めることから、日本のじゃがいも供給は北海道に大きく依存しています。
■ 鹿児島県(4.41kha/全国比6.19%)
温暖な気候を活かした早出し栽培が特徴で、北海道と出荷時期がずれているため、需給調整の面で重要な役割を担っています。前月比+0.9153%と増加しており、生産の安定性が高まっています。
■ 長崎県(3.07kha/全国比4.31%)
鹿児島と同様に早出しや中間地での栽培が中心であり、春と秋の二期作も一部で実施されています。前月比は-0.9677%とわずかに減少していますが、供給バランスを取る重要な生産地です。
■ 茨城県・千葉県・福島県・長野県
これらの地域では北海道・九州と比べると面積は小さいものの、地域消費への供給や特定品種の栽培、ブランド化によって存在感を保っています。特に茨城(1.59kha)は関東圏への出荷拠点でもありましたが、前月比-2.454%と減少が目立ちます。千葉・福島・長野も軒並み減少しており、今後の維持には工夫が必要です。
課題と展望
■ 気候変動による影響
近年の気温上昇や不安定な天候は、じゃがいもにとって重大なリスクです。特に高温障害や収穫期の大雨による病害リスクが課題として顕在化しています。
■ 労働力不足と機械化の必要性
収穫や選別に多くの労働力を要するため、機械化・スマート農業の導入が急務です。特に北海道以外の中小規模農家では、機械化の遅れがコスト高を招いています。
■ 加工用需要と輸出の可能性
近年、冷凍食品やスナック菓子向けの加工需要が安定していることから、契約栽培や加工向け品種の導入が拡大しています。また、アジア市場を中心とした輸出拡大も模索されています。
今後の推移予測と戦略
全国的には高齢化と農地減少の影響で緩やかな減少が続くと見られますが、北海道を中心とした機械化と大規模経営体の活躍により、供給力の一定維持は可能です。一方、鹿児島や長崎のような時期差供給地の役割は、需給調整の観点でますます重要となるでしょう。
また、福島や長野など小規模地帯では、高品質・ブランド化・直販などを通じた差別化が求められます。農業法人やJA、行政の支援による若手参入の促進も不可欠です。
コメント