じゃがいも収穫量の推移と主要産地の特徴|最新動向と展望

根菜類



日本のじゃがいも収穫量は2023年に2364ktを記録し、北海道が全体の8割以上を占める。気候変動や人手不足といった課題はあるが、スマート農業や輸出拡大などで安定供給と高付加価値化が期待される。各地域の特色を活かした戦略が今後の鍵となる。

野菜収穫量のデータとグラフ

じゃがいも収穫量の最大と最新

全国 北海道 長崎 鹿児島 茨城 千葉 熊本 福島
最新 2023年 2023年 2023年 2023年 2023年 2023年 2023年 2023年
最大期 1986年 1986年 1978年 2002年 1996年 1974年 1973年 1973年
最新値[kt] 2364 1916 85 83.9 44.6 28.3 16.3 14.4
最大値[kt] 4073 3064 177 101 55.7 63.2 20.8 108.2
前年比[%] 3.548 5.333 1.311 -14.04 -8.041 0.7117 10.14 -5.882
全体比[%] 100 81.05 3.596 3.549 1.887 1.197 0.6895 0.6091

 

これまでの推移

じゃがいもの収穫量
最新の割合

 

詳細なデータとグラフ

 

じゃがいもについての推移と展望

じゃがいもは、日本の食文化において不可欠な根菜であり、カレー、肉じゃが、ポテトサラダなど幅広い料理に使用される食材です。保存性と加工性の高さから家庭用だけでなく業務用・加工用需要も多く、国内農業において重要な作物と位置づけられています。

全国の収穫量の推移と現状

1973年から2023年までの50年間で、日本のじゃがいも収穫量は気候や農業政策、流通の変化などの影響を受けながら推移してきました。2023年の最新の全国収穫量は2364ktで、前月比+3.548%と増加傾向にあります。これは主要産地の北海道の好調な収穫が全体をけん引しているためです。

主要産地別の収穫状況と特徴

北海道(1916kt)

じゃがいも生産の中心地で、全国の約81%を占める圧倒的なシェアを誇ります。広大な耕地と冷涼な気候が栽培に適しており、2023年は前月比+5.333%、平均比+81.05%と極めて高水準を維持しています。加工用じゃがいも(ポテトチップスなど)の多くが北海道産であり、国内の安定供給の鍵を握ります。

長崎県(85kt)

温暖な気候を活かして冬場から春にかけて収穫される早出しじゃがいもが特徴。平均比+3.596%、前月比+1.311%と安定した成長を見せています。

鹿児島県(83.9kt)

こちらも早出しじゃがいもの主要産地ですが、前月比-14.04%と大きく減少。平均比+3.549%と一定の水準を保つも、天候不順の影響が懸念されます。

茨城県(44.6kt)

首都圏近郊での需要に対応する産地。前月比-8.041%、平均比+1.887%とやや不調ですが、安定供給の重要な拠点です。

千葉県(28.3kt)

房総半島を中心に栽培され、前月比+0.7117%、平均比+1.197%。品質の高さに定評があり、家庭向けの需要が多いです。

熊本県(16.3kt)

南九州の温暖な気候を活かして収穫。前月比+10.14%、平均比+0.6895%と比較的良好な推移を見せています。

福島県(14.4kt)

前月比-5.882%、平均比+0.6091%。気象条件に左右されやすい側面がありますが、地元消費と県内流通に重要な役割を果たしています。

課題と懸念点

  • 気候変動と不作リスク近年の猛暑や長雨など、極端な気象により一部地域での不作が頻発。特に鹿児島などの南西地域では影響が顕著です。

  • 人手不足と担い手問題生産者の高齢化と新規就農者不足により、今後の作付面積の維持が困難になりつつあります。

  • 価格変動と需給バランスの調整収穫量のばらつきにより、価格変動が生じやすく、加工業者との安定取引にも影響が出ています。

今後の展望と政策対応

  • スマート農業と生産性向上AIやドローン、自動運転農機の導入によって省力化と高精度な農業が可能となり、労働負担の軽減が期待されます。

  • 多様な品種の開発と高付加価値化病害虫に強く、用途別に適した多様な品種開発が進められています。市場ニーズに応じたブランド化が鍵となるでしょう。

  • 輸出と6次産業化の推進国内消費の安定と並行して、アジア圏などへの輸出や、ポテトチップスなどの加工品による6次産業化も注目されています。

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました