じゃがいも価格の全国都市別比較と今後の見通し|高騰・低迷の背景

じゃがいも



2008年から2025年4月までのデータを基に、じゃがいもの全国主要都市別卸売価格を分析。高松市や金沢市は高値水準で推移し、八戸市や長崎市は極めて低価格。地域差の背景には流通距離、気候、生産地との関係がある。最近では全国的に高騰傾向が顕著で、特に都市部の上昇が目立つ。今後は天候や作付面積、国際的な資材価格動向が価格を左右する見込み。

じゃがいもの卸売り市場価格

じゃがいもの高い順

高松市 金沢市 名古屋市 北九州市 仙台市 横浜市 大阪市 東京都 福岡市 広島市
最新 2025年4月 2025年4月 2025年4月 2025年4月 2025年4月 2025年4月 2025年4月 2025年4月 2025年4月 2025年4月
最大期 2020年7月 2020年7月 2020年7月 2020年7月 2025年4月 2025年4月 2020年7月 2020年7月 2020年7月 2020年7月
最新値[円/kg] 359.7 349 344 343.3 341.7 334.3 319.7 318.7 318.3 309.3
最大値[円/kg] 466 400 395 448 341.7 334.3 360 342 399 448
前月比[%] +26.79 +45.42 +28.36 +18.66 +46.64 +26.01 +27.53 +33.71 +28.53 +15.42
前年同月比[%] +58.21 +92.11 +72.28 +71.67 +73.73 +70.58 +76.29 +80.72 +51.82 +36.87

じゃがいもの安い順

札幌市 水戸市 青森市 三重県 旭川市 八戸市 長崎市 前橋市 宮崎市 函館市
最新 2025年4月 2021年12月 2023年12月 2021年12月 2021年12月 2023年12月 2023年12月 2021年12月 2023年12月 2016年12月
最大期 2020年7月 2020年7月 2020年7月 2020年7月 2015年7月 2020年7月 2020年7月 2021年4月 2020年7月 2015年6月
最新値[円/kg] 156 214 122 250 127 108 108 218 121 157
最大値[円/kg] 214 303 392 495 231 348 349 332 394 281
前月比[%] +18.18 +6.468 +0.8264 +6.383 -27.43 -4.425 -19.4 +10.66 -6.923 +34.19
前年同月比[%] +38.88 +50.7 +10.91 +49.7 +49.41 -4.425 +4.854 +47.3 +13.08 +124.3

 

じゃがいもの推移

じゃがいもの市場価格
じゃがいもの市場価格

 

その他のデータとグラフ

 

じゃがいもの価格についての推移と展望

じゃがいもは、日本全国で安定して消費される基幹野菜の一つです。2008年以降、価格は年単位で大きく変動しており、特に2016年や2023年には天候不順や病害の影響で価格が高騰しました。近年は、労働力不足や輸送コストの増加、肥料や燃料の国際価格高騰といった構造的な問題が価格を押し上げています。


最近の価格動向と背景

2025年4月時点の全国平均価格は312.2円/kgで、前月比で+26.18%と急騰しています。この背景には以下の要因が考えられます。

  • 端境期(はざかいき)による供給不足:冬春の在庫が減り、夏物への切り替え時期で流通が不安定。

  • 物流費の上昇:人手不足による運賃の高騰が小売価格に転嫁。

  • 海外依存資材の価格上昇:肥料・燃料の高止まりが生産コストを圧迫。


都市別ランキングの特徴(価格の高い地域)

都市別に見ると、特に価格が高いのは以下の都市です。

順位 都市名 価格(円/kg) 前月比 前年同月比
1 高松市 359.7 +26.79% +58.21%
2 金沢市 349.0 +45.42% +92.11%
3 名古屋市 344.0 +28.36% +72.28%

これらの都市に共通するのは、本州中心からやや外れた位置にある中規模都市で、消費地と生産地の中間距離にあることです。輸送や集荷の手間、流通量の限界が価格に反映されやすくなっています。


都市別ランキングの特徴(価格の低い地域)

一方、価格が極めて低いのは以下の都市です。

順位 都市名 価格(円/kg) 前月比 前年同月比
1 八戸市 108.0 -4.43% -4.43%
2 長崎市 108.0 -19.4% +4.85%
3 宮崎市 121.0 -6.92% +13.08%

これらの都市はじゃがいも生産地に近く、消費量が比較的安定しており、流通コストが低いことが共通点です。また、市場規模が小さいことから、大きな価格変動を避けやすい傾向にあります。


価格の変動率と地域格差の背景

前月比・前年同月比の変動率を見ると、都市によって大きな違いがあります。たとえば仙台市は前月比+46.64%、金沢市は前年比+92.11%と急騰しています。一方で八戸市や旭川市はむしろ下落しています。

このような地域差は次のような要因によるものです。

  • 地域市場の流通量の違い

  • 生産地からの距離

  • 卸売市場の取引慣行

  • 輸送手段の整備状況


今後の価格推移予測とリスク要因

今後の価格については、次のような要因が大きく関わると考えられます。

  • 気象の不安定さ(特に夏の高温・干ばつリスク)

  • 円安継続による資材高

  • 物流業界の「2024年問題」影響

高値圏がしばらく続く可能性が高く、特に都市部では350円/kg前後の高値が常態化する懸念もあります。今後は価格の安定化に向けて、生産拠点の多元化や、流通の効率化が求められるでしょう。


まとめ

じゃがいも価格は全国で大きな地域差があり、近年は輸送・資材・人手といったコスト上昇要因により、価格上昇傾向が顕著です。特に、地方中核都市における高値傾向は物流の効率性や市場の規模に起因するものであり、構造的課題の解決が急務です。今後の需給動向と政策対応が、価格の安定に影響を与えるでしょう。

 

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