2025年のじゃがいも価格が高騰|都市別動向と原因を徹底解説

野菜土物類



2025年3月のじゃがいも1kgの全国平均価格は527.4円と高水準で、地域によっては815円に達しています。特に宇都宮や九州地方などでの高騰が顕著です。北海道の不作、農業資材の高騰、物流問題、労働力不足などが価格上昇の主な要因であり、全国的に前年比で70%以上の上昇が見られる地域も少なくありません。

食料品の都市別小売価格

じゃがいもの高い都市

2025年3月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
名称 平均 宇都宮 宮崎 山口 那覇 松山 大分 福岡 松江 鳥取 今治
最新値[円] 527.4 815 662 638 634 622 619 611 609 599 594
平均比[%] 100 154.5 125.5 121 120.2 117.9 117.4 115.9 115.5 113.6 112.6
前年月同比[%] 34.72 111.7 38.2 63.59 43.44 17.58 36.95 40.46 28.75 49.75 40.09

じゃがいもの低い都市

2025年3月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
名称 平均 和歌山 旭川 函館 川口 長野 盛岡 長岡 所沢 札幌 熊谷
最新値[円] 527.4 372 373 388 395 395 412 422 430 437 440
平均比[%] 100 70.54 70.73 73.57 74.9 74.9 78.13 80.02 81.54 82.87 83.43
前年月同比[%] 34.72 15.17 9.064 41.61 26.2 20.43 15.73 14.05 15.9 1.157 34.15

 

これまでの野菜土物類の推移

じゃがいもの小売り価格
最新のデータ

 

詳細なデータとグラフ

 

じゃがいもの現状と今後

じゃがいもは、家庭料理から業務用まで幅広く使われる基本食材です。そのため、小売価格の変動は消費者の生活に直接的な影響を及ぼします。2025年3月時点の平均価格は527.4円/kgと、長期的に見て高水準にあります。本稿では、その背景や地域差、問題点を多角的に考察します。


長期的な価格推移と平均価格の現状

2010年代初頭、じゃがいもの全国平均価格は概ね300~400円台でした。しかし2020年以降、気候変動・農業資材の高騰・物流問題などが影響し、価格は上昇傾向を強めています。

2025年3月の全国平均は527.4円。これはコロナ禍以前の水準と比較して約30~40%の上昇に相当します。


地域別価格比較 ― 高価格地域と低価格地域の分析

高価格地域(上位10都市):

都市 価格(円) 前年比増加率
宇都宮 815円 +111.7%
宮崎 662円 +38.2%
山口 638円 +63.59%
那覇 634円 +43.44%
松山 622円 +17.58%
大分 619円 +36.95%
福岡 611円 +40.46%
松江 609円 +28.75%
鳥取 599円 +49.75%
今治 594円 +40.09%

特に宇都宮は前年比111.7%という驚異的な上昇率を記録しており、全国平均を55%以上上回る価格となっています。


低価格地域(下位10都市):

都市 価格(円) 前年比増加率
和歌山 372円 +70.54%
旭川 373円 +70.73%
函館 388円 +73.57%
川口 395円 +74.9%
長野 395円 +74.9%
盛岡 412円 +78.13%
長岡 422円 +80.02%
所沢 430円 +81.54%
札幌 437円 +82.87%
熊谷 440円 +83.43%

価格は低いものの、前年比増加率が70~85%台と非常に高く、”安さ”が一時的なものに過ぎないことを示唆しています。


価格高騰の背景と要因

北海道産じゃがいもの不作

日本のじゃがいも生産の約8割は北海道に依存していますが、ここ数年は猛暑・干ばつ・台風などの影響で不作が連続し、出荷量が激減。その結果、全国的に供給不足が生じています。

農業資材・燃料コストの上昇

肥料、農薬、ビニール資材の価格が高騰し、さらにトラック運送や冷蔵保管の燃料費も上昇しており、生産・物流のコストが著しく増加しています。

労働力不足によるコスト増

農業分野では高齢化と人手不足が深刻化しており、収穫・選別・出荷にかかる人件費が高騰しています。このコスト増が最終的な小売価格に転嫁されるケースが増えています。

輸入じゃがいもの頼り難さ

日本は加工用として一部を輸入に頼っていますが、国際市場でも需給逼迫や輸送費の高騰があり、国内価格に連動してしまっています。


都市別価格動向の特徴と分析

高価格都市の特徴(宇都宮・宮崎・那覇など):

  • 物流コストの高さ(特に南西諸島や九州)

  • 地場流通が弱い都市では、大手流通経由の仕入れが中心で価格が安定しづらい

  • 特に宇都宮のように卸売市場での品薄が直撃しているケースも目立ちます

低価格都市の特徴(旭川・函館・札幌など):

  • 北海道内では生産地が近いため流通コストが少ない

  • 農協との連携で直接仕入れできる仕組みが整っている地域も多い

  • ただし価格の上昇率は非常に高く、今後の上昇が懸念されます


今後の見通しと政策的課題

今後もじゃがいも価格は不安定な高止まり傾向が続くと予想されます。気候変動の影響を最小化するためには、以下のような対策が必要です:

  • 北海道以外での生産振興

  • 農業への若者参入の支援

  • スマート農業(IoT・AI)の導入支援

  • 燃料費・資材価格への補助金の拡充

  • 輸入元の多角化


まとめ ― 消費者と産業界の両方が問われる対応力

じゃがいもの価格は、家庭の食卓だけでなく、外食産業や加工業界にとっても死活問題です。今後の気候や経済動向次第では、さらなる価格高騰もあり得ます。安定供給と価格抑制を実現するには、生産から流通、消費に至るまで、社会全体での取り組みが不可欠です。

 

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