2025年4月のしらす干し100gの平均小売価格は661.7円で、前年同月比では-2.256%とわずかに下落傾向。高価格地域は富士(919円)、旭川、伊丹などで、安値地域は所沢(476円)、岐阜、宮崎など。価格変動の背景には、漁獲量の変動、加工・流通コスト、天候や海流の影響、地域需給の差がある。今後は資源管理の強化や消費構造の変化により、価格の安定と二極化が並行して進むと予想される。
小売物価統計
しらす干し小売りの高い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 富士 | 旭川 | 伊丹 | 富山 | 西宮 | 八王子 | 大阪 | 佐世保 | 小山 | 東京都区部 |
最新値[円] | 661.7 | 919 | 869 | 855 | 832 | 827 | 821 | 816 | 814 | 806 | 792 |
前年同月比[%] | -2.256 | -23.92 | +8.917 | +3.354 | +2.099 | -3.298 | -4.225 | +15.95 | -3.589 | -2.222 |
しらす干し小売りの安い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 所沢 | 岐阜 | 宮崎 | 大津 | 相模原 | 福島 | 山形 | 八戸 | 水戸 | 郡山 |
最新値[円] | 661.7 | 476 | 478 | 483 | 492 | 495 | 499 | 515 | 519 | 525 | 526 |
前年同月比[%] | -2.256 | -2.857 | +5.752 | -15.26 | -26.13 | -1 | +9.67 | +6.846 | -3.352 | +7.803 |
しらす干しの推移


詳細なデータとグラフ
しらす干しの現状と今後
しらす干しとは、イワシやカタクチイワシの稚魚を塩ゆでし、軽く乾燥させた食品で、関東から関西、9州にかけて幅広く食されている。カルシウムを豊富に含み、健康志向の高まりとともに、家庭料理や弁当などでも定番の食材として定着している。
地域によっては「釜揚げしらす」「半干し」「上干し」などの分類があり、商品価値や価格に影響を及ぼしている。
2010年~2025年の価格動向の全体像
この15年間でしらす干し100gの小売価格は大きな変動を見せた。2010年頃は400〜500円台が主流だったが、近年は600円台後半に達し、2025年4月時点では661.7円となっている。ピーク時には700円台を超える地域もあり、漁獲量減少や燃料費高騰、加工賃の上昇が要因となった。
しかし2024年から2025年にかけては、平均で前年比-2.256%と下落傾向に転じており、1部地域では需給の緩みや漁獲環境の改善が見られる。
地域別の価格差とその背景
高価格地域の代表である富士(919円)、旭川(869円)、伊丹(855円)などでは、ブランド化や鮮度保持にコストがかかる点、消費者の品質重視の傾向が背景にある。また、富士などは駿河湾に面しているにもかかわらず、地元産への依存度が高く、資源変動の影響を受けやすい。
1方、安値地域の所沢(476円)、岐阜(478円)、宮崎(483円)などでは、流通効率の高さや、比較的安価な海外産原料の活用などが影響している。特に関東内陸部では、冷凍・加工品が主流となっており、価格競争力が働きやすい。
価格変動の要因と市場構造
しらす干しの価格は、以下の複数要因により変動している:
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自然環境の影響:黒潮の蛇行、海水温の上昇、天候不順はしらす漁に直結する。
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資源管理政策の変化:漁期の短縮、漁獲制限などが供給量に影響。
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加工業者の負担増:燃料費、電気代、人件費の上昇が価格に転嫁。
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消費動向の変化:高齢者や健康志向の家庭での需要は高いが、若年層の魚離れは進行中。
2025年4月時点で平均がやや下落しているのは、資源状況の改善や1部輸入原料による価格調整、スーパー等での値引き競争が要因として考えられる。
前年からの価格増減と解釈
価格が大きく下落した富士(-23.92%)や大津(-26.13%)では、2024年の高騰が1時的だった可能性が高く、価格調整が行われたと考えられる。1方で、佐世保(+15.95%)や福島(+9.67%)のように大幅に上昇した地域では、供給不安や地域消費の安定、または地元ブランド商品の強化による価格転嫁が想定される。
これらの変動は1過性である可能性もあるが、しらす干しは地域密着型の流通構造が多いため、価格変化はその地域の市場構造を反映しやすい。
今後の価格展望と政策的・消費者的対応
今後のしらす干しの価格については、以下のような動向が予想される:
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資源状況の好転:適切な資源管理と黒潮の回帰により漁獲量が安定すれば、価格は緩やかに低下する可能性。
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加工業者の省力化と効率化:機械化や冷凍物流の強化によって、コストが抑えられ、価格も安定。
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消費者の選別傾向:安価な外国産と高価格の国産品で市場が2極化する可能性が高く、都市部では高品質志向、地方ではコストパフォーマンス志向が強まる。
政策的には、水産業の持続可能性を維持するため、しらす漁における漁獲制限や海洋保全活動が今後より重要になる。また、スーパーや生協では、しらす干しの規格統1や商品説明の強化によって、消費者への理解促進が鍵となる。
まとめ
しらす干しの100gあたりの小売価格は、過去10年超にわたり大きな変動を見せながらも、近年は高値安定の時代を迎えていました。2025年に入りわずかに下落傾向が見られるものの、その動きは地域差が大きく、短期的な変化に過ぎない可能性もある。今後も海洋資源の変動、消費者行動、加工業の再編といった要素に応じて価格は変動していく見通しです。
消費者としては、地域差や加工方法の違いを理解し、自身のライフスタイルや価値観に合った商品を選ぶことが、しらす干し文化の持続につながると言えるでしょう。
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