しょうが焼き定食の全国平均価格は2025年4月で1037円、前年比+6.4%と急上昇傾向にあり、地域差は最大で2倍に開いています。豚肉価格や人件費の高騰が主な要因で、今後は価格の二極化や中食化の進行が予想されます。しょうが焼き定食は、庶民食でありながらも日本経済の縮図を映す重要な存在です。
小売物価統計
しょうが焼き定食小売りの高い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 宮崎 | 福井 | 盛岡 | 仙台 | 松山 | 山形 | 長野 | 横浜 | 鳥取 | 富山 |
最新値[円] | 1037 | 1570 | 1527 | 1367 | 1200 | 1193 | 1167 | 1150 | 1150 | 1143 | 1102 |
前年同月比[%] | +6.422 | +10.02 | +6.263 | +9.36 | +13.96 | +5.856 | +7.36 | +4.545 | +2.954 | +2.973 | +5.657 |
しょうが焼き定食小売りの安い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 広島 | 千葉 | 新潟 | 東京都区部 | 大阪 | 青森 | 高知 | 松江 | 鹿児島 | 山口 |
最新値[円] | 1037 | 793 | 813 | 871 | 874 | 876 | 893 | 893 | 917 | 917 | 926 |
前年同月比[%] | +6.422 | +7.162 | +9.865 | +8.468 | +4.545 | +2.696 | +5.931 | +1.824 | +5.767 | +6.628 | +13.48 |
しょうが焼き定食の推移


詳細なデータとグラフ
しょうが焼き定食の現状と今後
しょうが焼き定食は、日本の外食文化において日常性と親しみやすさを兼ね備えた定番メニューです。家庭でも比較的簡単に作れる1方、外食店で提供される定食は手間のかかった副菜・ご飯・味噌汁付きで、昼食や夕食の選択肢として幅広い層に親しまれています。そのため価格の変動は、「庶民のスタンダード」がいかに変化しているかを映し出す、非常に興味深い指標でもあります。
2016年から2025年にかけての価格動向の概観
しょうが焼き定食の全国平均価格は、2025年4月時点で1037円に達しており、直近1年間で+6.422%の上昇が見られます。この上昇率は、同じ和食定番である豚カツ定食(+3.366%)を大きく上回っており、原材料コストや外食店の価格設定戦略の変化を反映しています。
価格の最も高い地域は宮崎(1570円)、福井(1527円)、盛岡(1367円)などで、最も安い地域は広島(793円)、千葉(813円)、新潟(871円)などです。全国で価格差が約2倍に開いている点は、地方の物価や飲食業の構造が地域ごとに大きく異なることを示しています。
価格上昇の背景――豚肉価格と外食産業の事情
しょうが焼き定食の主要材料は豚肉であり、ここ数年、特に国産豚肉の卸価格が上昇傾向にあります。背景には、配合飼料の価格高騰、円安による輸入コストの上昇、畜産業の人手不足などがあり、こうしたコストは飲食店にも転嫁されています。
また、2023年以降、飲食店では人件費や光熱費の上昇が重くのしかかっており、定食類の価格改定が相次いでいます。とくに個人経営の飲食店では、利益確保のために1000円を超える価格設定が常態化しつつあり、しょうが焼き定食も「安価な日常食」からやや高級な位置づけへ移行しつつあります。
地域ごとの特徴と価格形成
宮崎や福井といった高価格帯地域では、地産地消の豚肉やオリジナルの付加価値を付けた定食メニューが提供されており、それが価格に反映されていると考えられます。観光地化や高齢化によって地元飲食店の単価が上昇している点も1因です。
1方、広島や千葉、東京都区部などの低価格帯地域では、大手チェーンや企業系食堂などによる低価格戦略が背景にある可能性があります。また、人口密集地では競争が激しく、価格を上げにくいという事情もあります。
興味深いのは、東京都区部が874円と比較的低価格ながらも、前年同月比+4.545%と堅調に上昇している点です。コスト上昇を吸収しながら、緩やかな価格改定が行われていることが読み取れます。
しょうが焼き定食価格における課題とリスク
しょうが焼き定食は「お手頃・健康的・満足感」の3拍子が揃ったメニューとして、長年多くの人々に支持されてきました。しかし、1000円を超える価格が1般化すると、外食の頻度が落ちる層が増える可能性があります。
また、価格差が2倍にもなる地域間格差は、「地域経済の2極化」や「外食インフラの不均衡」の表れでもあります。都市部では低価格化圧力が強く、地方では価格転嫁が進む。これにより、外食文化そのものが地域ごとに変質していく恐れがあります。
今後のしょうが焼き定食価格の展望
今後、しょうが焼き定食の価格は以下のようなシナリオで推移すると見られます:
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物価高追従シナリオ 今後も年4〜6%の緩やかな上昇が継続し、2026年には平均価格が1100円を超える可能性が高い。
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メニューの差別化シナリオ 付加価値型の高級しょうが焼き定食(例:ブランド豚、特製タレ、副菜強化)と、大手チェーンによるコスト重視型の低価格メニューとで、価格の2極化が進む。
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中食・簡易食シフトシナリオ 1000円超の価格に対する抵抗感から、スーパーやコンビニの「しょうが焼き弁当」が主流化し、定食としての外食頻度が低下する可能性も。
しょうが焼き定食を通じて見える経済と生活のリアル
しょうが焼き定食の価格変動は、単なる料理の話ではなく、日本の家計、労働市場、地域経済を反映するリアルな指標です。今後、原材料価格や人件費の構造的な高止まりが続く中で、しょうが焼き定食が「誰にとっても気軽に楽しめる」存在であり続けられるかどうかは、飲食業界の創意工夫と政策的な支援次第と言えるでしょう。
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