しめじ1kgの全国平均小売価格は2025年3月時点で901円と上昇傾向にあります。特に八戸や松山などの地方都市では物流コストや品質志向により価格が高く、盛岡では21.56%の増加が見られます。一方、熊谷や所沢では価格は安いものの、前年比で60%以上の急騰が観測されています。背景には燃料費高騰や天候不順による供給減があり、今後は流通効率化と生産支援が課題です。
食料品の都市別小売価格
しめじの高い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 八戸 | 松山 | 盛岡 | 静岡 | 山口 | 八王子 | 熊本 | 福山 | 徳島 | 岡山 |
最新値[円] | 901 | 1415 | 1399 | 1353 | 1340 | 1303 | 1256 | 1157 | 1138 | 1128 | 1082 |
平均比[%] | 100 | 157.1 | 155.3 | 150.2 | 148.7 | 144.6 | 139.4 | 128.4 | 126.3 | 125.2 | 120.1 |
前年月同比[%] | 14.06 | 20.12 | 18.06 | 21.56 | 33.47 | 0.463 | 18.49 | 21.79 | 3.455 | 0.985 | 19.29 |
しめじの低い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 熊谷 | 所沢 | 東大阪 | 松本 | 長岡 | 福井 | 柏 | 川口 | 郡山 | 前橋 |
最新値[円] | 901 | 570 | 646 | 656 | 702 | 708 | 712 | 717 | 720 | 731 | 733 |
平均比[%] | 100 | 63.27 | 71.7 | 72.81 | 77.92 | 78.58 | 79.03 | 79.58 | 79.92 | 81.14 | 81.36 |
前年月同比[%] | 14.06 | 11.11 | -7.317 | -2.671 | -12.8 | 2.907 | -1.248 | 0 | 16.13 | -18.69 | 14.17 |
これまでのきのこ類の推移


詳細なデータとグラフ
しめじの現状と今後
しめじの小売価格は、2014年から2025年3月までの長期的なデータを元に見ると、年々緩やかな上昇傾向を見せています。2025年3月時点の全国平均価格は901円/kg。これは、他のきのこ類(例えば生しいたけや干ししいたけ)と比べて相対的に安価ですが、それでも直近1年で急速な値上がりが確認されています。
特に注目すべきは、価格が最も高い地域では八戸(1415円)や松山(1399円)、盛岡(1353円)などが上位にランクインしており、いずれも平均を大きく上回っています。
一方、価格が最も安い地域には熊谷(570円)、所沢(646円)、東大阪(656円)があり、その価格差は2.5倍以上と非常に大きな地域格差が存在しています。
都市別の価格特徴とその背景
高価格地域の傾向
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八戸・松山・盛岡といった高価格地域では、しめじの供給量が限られていることに加え、物流コストが価格に転嫁されている傾向が見られます。
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また、地域によっては高品質・有機栽培のしめじが消費者に好まれる傾向があり、その分価格が上昇しやすくなっています。
低価格地域の傾向
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熊谷・所沢・東大阪などでは、流通網の充実やスーパーマーケットの価格競争が進んでいるため、比較的安価なしめじが流通しています。
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また、大手のきのこ栽培企業が集中的に出荷しているエリアでもあり、生産効率の高さが低価格を実現している一因と考えられます。
急激な価格上昇の背景
前年同期比で価格が大きく上昇している地域に注目すると、前橋(+81.36%)、郡山(+81.14%)、川口(+79.92%)などが挙げられます。このような異常ともいえる値上がりには以下のような要因が考えられます。
エネルギーコストの上昇
しめじは温度・湿度管理が必要なハウス栽培が中心であり、燃料費や電力費の高騰が直撃しています。
賃金上昇と人手不足
きのこ生産は手作業も多く、人件費が上昇したことで最終的な販売価格に影響しています。特に地方では担い手不足が深刻です。
包装資材の値上がり
プラスチックや紙素材の価格上昇により、パッケージコストが増大し、商品価格にも波及しています。
天候不順と供給不安定
特に2024年の夏は猛暑や台風の影響で生産量にムラが生じ、安定供給が困難となった地域が多くありました。
価格動向の今後と課題
今後の見通し
短期的にはしめじ価格は引き続き上昇基調にあると予想されます。ただし、大手スーパーによる大量仕入れや契約栽培の導入が進むことで、一部地域では価格が安定する可能性もあります。
課題と政策的対応
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地域格差の是正:物流支援や燃料補助によって地方の価格高騰を抑えることが必要です。
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担い手の確保:しめじ栽培における若年層の参入促進やスマート農業導入が求められています。
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消費者負担の軽減:食材として重要なしめじの価格上昇は家庭の食費に直結するため、価格補助や流通の効率化も検討が進んでいます。
まとめ
しめじの価格は、地味ながらも着実に上昇しており、その背景には多くの構造的要因があります。都市ごとの物流網、生産環境、消費傾向の違いが価格に反映されており、今後は消費者・生産者・行政の三者が連携して価格安定と安定供給を目指す必要があります。
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