日本のさやいんげん収穫量は全体として減少傾向にあり、2023年は前年比-7.251%で30.7ktに。千葉や北海道が主要産地だが、福島などでは急減。労働力不足や気象変動、輸入品の影響が課題。今後は北海道などの冷涼地での拡大や、スマート農業による省力化・品質向上が鍵となる。
野菜収穫量のデータとグラフ
さやいんげん収穫量の最大と最新
全国 | 千葉 | 北海道 | 福島 | 鹿児島 | 沖縄 | 茨城 | 群馬 | |
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最新 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 |
最大期 | 1986年 | 1977年 | 2020年 | 1983年 | 1993年 | 1990年 | 1980年 | 1973年 |
最新値[kt] | 30.7 | 4.99 | 2.9 | 2.53 | 2.04 | 1.66 | 1.65 | 1.08 |
最大値[kt] | 99.3 | 9.95 | 5.05 | 12.2 | 5.69 | 4.5 | 7.48 | 3.72 |
前年比[%] | -7.251 | -1.383 | 10.27 | -22.39 | -3.774 | -9.29 | -8.333 | -8.475 |
全体比[%] | 100 | 16.25 | 9.446 | 8.241 | 6.645 | 5.407 | 5.375 | 3.518 |
これまでの推移


詳細なデータとグラフ
さやいんげんについての推移と展望
さやいんげんは日本の果菜類の一つとして、特に夏から初秋にかけて家庭や業務用で広く消費される重要な作物です。収穫量は年によって変動が大きく、地域ごとの気候条件や農業政策、消費動向などが強く影響を与えています。
全国的な収穫量の推移
1973年から2023年までの50年間において、さやいんげんの収穫量は減少傾向にあります。最新(2023年)の全国収穫量は30.7ktで、前年比では-7.251%と大きく落ち込みました。この背景には、農業従事者の高齢化や担い手不足、気象変動、さらには輸入品との競合などが指摘されています。
県別の特徴と現況
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千葉県(4.99kt):全国比16.25%と最大の生産量を誇り、関東の温暖な気候と流通網の整備が背景にあります。前年比は-1.383%と比較的堅調で、安定供給が評価されています。
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北海道(2.9kt):前年比+10.27%と唯一増加しており、夏場の冷涼な気候が高品質なさやいんげんの生産に適しているとされています。
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福島県(2.53kt):前年比-22.39%と急落。天候不順や病害の影響が考えられます。
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鹿児島県(2.04kt):温暖な気候で早期出荷が可能ですが、前年比は-3.774%と微減。
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沖縄県(1.66kt):南国の特性を活かし通年栽培が可能な地域ですが、前年比は-9.29%とやや厳しい。
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茨城県(1.65kt)・群馬県(1.08kt):ともに関東近郊の産地であるが、前年比はともに-8%以上と下落しており、収益性や人手の確保に課題があるとみられます。
課題と問題点
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労働力不足:収穫作業は手作業が主であるため、労働集約的な作物であるさやいんげんは担い手不足の影響を大きく受けています。
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気候変動:近年の高温や降雨量の変動により、生育不良や病害が発生しやすくなっています。
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輸入品との競争:価格面で輸入品に押される傾向が強く、国産品の競争力維持が求められます。
今後の展望と対策
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北海道など冷涼地の拡大:気候の利点を生かした北海道での生産拡大が期待されます。
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高付加価値化:有機栽培やブランド化による差別化により、消費者への訴求力を高める必要があります。
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スマート農業の導入:省力化と品質維持の両立を目指し、センサーやドローンを活用した栽培管理が進む可能性があります。
まとめ
日本のさやいんげん生産は減少傾向にあるものの、一部地域では堅調または成長が見られます。今後は地域ごとの特性を活かした戦略と、スマート農業など新技術の活用により、生産の維持と拡大が図られることが期待されます。
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