2008年から2025年までのデータをもとに、さつまいもの都市別価格動向を見ると、沖縄県や鳥取市など西日本を中心に高値傾向が顕著です。一方、盛岡市や上尾市などの東北・関東では低価格圏が続いています。価格の地域差は流通コスト、需要、地元生産量などの影響が大きく、近年は天候不順や物流問題が価格高騰に拍車をかけています。今後も価格は高止まりする可能性があり、地域ごとの価格格差拡大が懸念されます。
さつまいもの卸売り市場価格
さつまいもの高い順
沖縄県 | 鳥取市 | 金沢市 | 広島市 | 松江市 | 高松市 | 京都市 | 北九州市 | 福岡市 | 東京都 | |
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最新 | 2025年5月 | 2021年12月 | 2025年5月 | 2025年5月 | 2021年12月 | 2025年5月 | 2025年5月 | 2025年5月 | 2025年5月 | 2025年5月 |
最大期 | 2025年5月 | 2021年6月 | 2020年6月 | 2025年5月 | 2021年5月 | 2025年5月 | 2008年6月 | 2015年7月 | 2022年5月 | 2021年6月 |
最新値[円/kg] | 478 | 451 | 449.3 | 409.3 | 398 | 390.7 | 372 | 366.7 | 366 | 356.7 |
最大値[円/kg] | 478 | 553 | 496 | 409.3 | 498 | 390.7 | 444 | 437 | 401 | 405 |
前月比[%] | +22.67 | +8.413 | +47.32 | +22.19 | -1.728 | +17.08 | +24.69 | +15.06 | +39.87 | +25.29 |
前年同月比[%] | +31.8 | +29.23 | +44.79 | +13.91 | +10.56 | +44.69 | +10.71 | +7.949 | +4.473 | +15.05 |
さつまいもの安い順
久留米市 | 大津市 | 水戸市 | 佐世保市 | いわき市 | 青森市 | 新潟市 | 盛岡市 | 上尾市 | 浜松市 | |
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最新 | 2023年12月 | 2021年12月 | 2021年12月 | 2016年12月 | 2023年12月 | 2023年12月 | 2023年12月 | 2023年12月 | 2016年12月 | 2023年12月 |
最大期 | 2021年5月 | 2021年6月 | 2021年5月 | 2015年7月 | 2021年5月 | 2021年5月 | 2022年5月 | 2010年7月 | 2010年7月 | 2021年6月 |
最新値[円/kg] | 240 | 338 | 207 | 191 | 201 | 216 | 281 | 168 | 154 | 197 |
最大値[円/kg] | 375 | 502 | 353 | 367 | 362 | 390 | 449 | 371 | 316 | 413 |
前月比[%] | -12.73 | +5.625 | +2.985 | -15.49 | -11.06 | +3.349 | +7.663 | -10.64 | -9.942 | -10.05 |
前年同月比[%] | +0.4184 | +15.75 | +19.65 | +14.37 | -12.99 | +1.408 | -5.068 | -4.545 | -4.348 | -6.635 |
さつまいもの推移


その他のデータとグラフ
さつまいもの価格についての推移と展望
さつまいもの卸売価格は、2008年以降おおむね安定して推移してきましたが、近年では急激な価格変動が目立ちます。特に2022年以降は、記録的な猛暑や異常気象、肥料・燃料価格の高騰による生産コストの上昇、そして流通業界の人手不足が影響し、全国的に価格上昇傾向が強まりました。2025年5月時点での全国平均は366.5円/kgと、前年や前月比でも大きく上昇しています。
都市別の高価格帯ランキングとその要因
以下の都市が2025年5月時点で高価格帯にランクインしています:
都市 | 価格(円/kg) | 前月比 | 前年同月比 |
---|---|---|---|
沖縄県 | 478 | +22.67% | +31.8% |
鳥取市 | 451 | +8.413% | +29.23% |
金沢市 | 449.3 | +47.32% | +44.79% |
広島市 | 409.3 | +22.19% | +13.91% |
松江市 | 398 | -1.728% | +10.56% |
これらの都市では、以下のような要因で価格が高くなる傾向があります:
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物流コストの高さ(離島や山間部)
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地元での生産量の少なさにより需要を外部に依存
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観光需要や高齢化による消費の偏り
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地場ブランド品種の流通によるプレミアム価格
特に金沢市の前月比+47.32%、前年同月比+44.79%の上昇は突出しており、局所的な供給不足や需要集中が原因と考えられます。
価格が低い地域とその特色
1方で、以下の都市ではさつまいもが200円/kg前後で取引されるなど、全国的に見て価格が安価です:
都市 | 価格(円/kg) | 前月比 | 前年同月比 |
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上尾市 | 154 | -9.942% | -4.348% |
盛岡市 | 168 | -10.64% | -4.545% |
浜松市 | 197 | -10.05% | -6.635% |
佐世保市 | 191 | -15.49% | +14.37% |
水戸市 | 207 | +2.985% | +19.65% |
これらの地域では:
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地元生産が盛んで供給が安定している
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卸売市場への流通量が多く価格競争が激しい
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需要がそれほど集中していないため価格が抑制
上尾市や盛岡市のように価格が下落傾向にある地域では、流通業者の買い控えや在庫調整なども影響している可能性があります。
最近の問題点
異常気象による収穫量の変動
近年の気象変動は収穫時期のズレや病害虫の発生をもたらし、生産の安定性を脅かしています。
労働力不足と物流の負担増
高齢化による農業人口の減少、トラック運転手の不足(2024年問題)によって、流通コストが上昇しています。
地域ごとの価格格差の拡大
価格上昇の1因は需給バランスの地域偏重であり、1部都市では価格が2倍以上異なる状況が常態化しています。
今後の価格推移と予測
今後も以下の要因により、さつまいもの価格は高止まり傾向が続くと予想されます:
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気候リスクと災害の頻発
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物流コストの上昇が抑えにくい
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輸入冷凍さつまいもとの競合と政策支援の動向
ただし、地元生産の回復や新技術の導入により、中長期的には価格の安定化が見込まれる地域もあります。特に低価格帯にある東北地方などでは、安定供給による市場拡大が期待されます。
まとめ:さつまいも価格の「2極化」に向き合う時代へ
さつまいもは日本人にとって身近な野菜でありながら、その市場価格には地域差が色濃く出ています。これは単なる需給の問題ではなく、物流、気候、政策、消費構造といったさまざまな要因が絡み合っています。今後は、「産地支援」「流通改革」「地域連携」によって、この2極化に対応していくことが求められています。
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