日本のごぼう1kgの小売価格は2025年3月時点で平均1101円と高騰傾向にあります。特に都市部の熊谷や府中などでは1400円台を記録し、一方で生産地に近い盛岡や旭川では600~700円台と地域差が顕著です。価格上昇の背景には、気候変動による不作、生産者の高齢化、物流費の上昇があり、今後の安定供給には生産支援や流通改革が求められています。
食料品の都市別小売価格
ごぼうの高い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
名称 | 平均 | 熊谷 | 府中 | 八戸 | 枚方 | 高知 | 相模原 | 藤沢 | 神戸 | 松山 | 福島 |
最新値[円] | 1101 | 1453 | 1447 | 1431 | 1413 | 1356 | 1317 | 1299 | 1266 | 1263 | 1262 |
平均比[%] | 100 | 131.9 | 131.4 | 130 | 128.3 | 123.1 | 119.6 | 118 | 115 | 114.7 | 114.6 |
前年月同比[%] | 23.29 | 96.62 | 47.65 | 39.07 | 43.6 | 39.36 | 25.79 | 0 | 16.79 | 20.98 | 15.15 |
ごぼうの低い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
名称 | 平均 | 盛岡 | 旭川 | 札幌 | 和歌山 | 熊本 | 函館 | 日立 | 高松 | 徳島 | 北九州 |
最新値[円] | 1101 | 557 | 669 | 789 | 802 | 833 | 856 | 870 | 898 | 914 | 922 |
平均比[%] | 100 | 50.58 | 60.75 | 71.65 | 72.83 | 75.65 | 77.73 | 79.01 | 81.55 | 83 | 83.73 |
前年月同比[%] | 23.29 | -5.272 | 15.54 | -1.128 | -6.852 | -0.833 | 61.21 | -4.396 | 28.65 | 19.48 | 11.76 |
これまでの野菜土物類の推移


詳細なデータとグラフ
ごぼうの現状と今後
2025年3月時点における日本全国のごぼう1kgあたりの平均小売価格は1,101円となり、過去数年と比べて明らかに高騰しています。2010年からの長期的なデータを見ると、数百円台だった価格は徐々に上昇傾向を見せ、特に近年は急騰が顕著です。この背景には、気象条件の変動、輸送コストの増加、生産者の高齢化、農業従事者の減少など、複合的な要因が絡んでいます。
都市別の価格差と特徴
高価格地域の特徴(上位10都市)
高い順に並べると、熊谷(1453円)、府中(1447円)、八戸(1431円)、枚方(1413円)、高知(1356円)などが上位に位置しています。これらの都市では、以下のような要因が価格を押し上げていると考えられます:
-
都市部・近郊の流通コストの高さ:府中や枚方など都市圏では、地価・人件費・物流費が高くなりがち。
-
需要の集中:健康志向の高まりで根菜類の人気が都市部で増し、供給が追いつかないことも。
-
天候不順による作柄の悪化:青森など生産地に近い八戸などでは、収穫量の減少が価格に直結。
低価格地域の特徴(下位10都市)
一方で、盛岡(557円)、旭川(669円)、札幌(789円)などは比較的安価です。これらの地域では以下の要素が見られます:
-
生産地に近く地元消費が主流:北海道や東北では地場産品が多く出回るため輸送コストが抑えられます。
-
流通経路の短さ:地産地消の意識が高く、中間マージンが少ない傾向。
-
市場競争の存在:地域内での価格競争が激しい場合、比較的価格が抑えられる傾向があります。
価格高騰の背景
気候変動と天候不順
ごぼうの主な産地である青森、茨城、北海道では近年、猛暑や台風、大雨など異常気象が頻発しています。2024年には特に夏の高温と少雨が影響し、ごぼうの生育不良や出荷遅延を引き起こしました。これが全国的な供給不足に繋がり、価格上昇の一因となっています。
生産者の減少と高齢化
農業全体の課題として、生産者の高齢化が深刻です。ごぼうは手間のかかる根菜であり、作付面積の維持が困難となっている地域も多く、結果として市場に出回る量が減少しています。
物流費の高騰
燃料費や人件費の上昇によって、物流コストが増加しています。とくに遠方への配送が必要な都市圏では、そのコストが価格に上乗せされる形で反映されやすくなっています。
今後の展望と対策の必要性
ごぼうの価格は今後も気候や生産環境によって大きく左右されると予測されます。以下のような対策が重要となるでしょう:
-
生産地支援の強化:補助金や担い手育成による産地維持。
-
安定供給のための冷蔵技術の普及:保存性の向上で需給調整が可能。
-
都市部での契約栽培推進:需要地と生産者のマッチングを進める。
まとめ
ごぼうの価格は近年著しく高騰しており、地域による価格差も大きくなっています。その背景には、気候変動、生産体制の脆弱性、物流コストの増大といった複合的な課題が存在します。今後の安定供給には、生産地支援と消費地との連携強化がカギとなります。
コメント