2025年4月時点での日本のぎょうざ1人前の平均価格は396.9円で、前年比+4.067%と緩やかに上昇中。長崎や熊本などの地方都市では500円超の地域もあり、鹿児島では+28%の急騰も見られる。一方、宇都宮や仙台などの激戦区では価格が抑えられている。今後も原材料や人件費の影響で400円超えが続く見込み。ぎょうざは価格だけでなく、満足感と庶民性のバランスが問われている。
小売物価統計
ぎょうざ小売りの高い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
名称 | 平均 | 長崎 | 熊本 | 山形 | 新潟 | 長野 | 横浜 | 静岡 | 甲府 | 松山 | 金沢 |
最新値[円] | 396.9 | 583 | 517 | 509 | 500 | 483 | 477 | 471 | 467 | 463 | 443 |
前年同月比[%] | +4.067 | +2.822 | +8.386 | +6.263 | +4.822 | +4.32 | +1.923 | +10.3 | +1.313 | +9.926 |
ぎょうざ小売りの安い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
名称 | 平均 | 鹿児島 | 宇都宮 | 仙台 | さいたま | 福井 | 松江 | 福島 | 大阪 | 佐賀 | 千葉 |
最新値[円] | 396.9 | 300 | 303 | 323 | 325 | 326 | 330 | 330 | 338 | 343 | 346 |
前年同月比[%] | +4.067 | +28.21 | +2.02 | -5 | +7.261 | +3.492 | +10 | +5.431 | +6.962 | +1.78 | +4.848 |
ぎょうざの推移


詳細なデータとグラフ
ぎょうざの現状と今後
ぎょうざ(餃子)は、今や日本の食文化に深く根ざした料理であり、中華料理にルーツを持ちながらも、日本独自の進化を遂げてきました。冷凍食品としても外食メニューとしても非常に親しまれており、外食・中食・内食すべての領域にまたがって消費されています。今回のデータは、2010年から2025年4月までの小売価格を対象にしており、そこから日本経済・地域格差・価格変動の背景を読み取ることが可能です。
長期的な価格推移とその背景
2025年4月時点でのぎょうざ1人前の全国平均は396.9円となっており、これは2010年から見れば確実に上昇傾向にあることが示唆されます。2024年4月からの1年間での全国平均の伸び率は+4.067%であり、ラーメンの伸び率(+6.887%)よりはやや穏やかですが、確実にインフレの波を受けている品目です。
この価格上昇の要因は、以下の通りと考えられます:
-
原材料価格の上昇:豚肉、キャベツ、小麦粉、にんにくなど、主要材料の価格上昇。
-
エネルギー価格の高止まり:製造・冷凍・輸送におけるコスト増。
-
人件費の上昇:食品製造業や外食業界における人手不足に伴う時給上昇。
-
中食需要の拡大:コロナ禍以降、テイクアウトや冷凍ぎょうざの需要増加に伴い、単価が調整された。
地域別価格の特徴とギャップの背景
高価格帯(トップ10)は以下のような都市が並びます:
-
長崎:583円(+2.822%)
-
熊本:517円(+8.386%)
-
山形:509円(+6.263%)
これらの地域は、必ずしも都市圏とは限らず、「地元の中華料理店や専門店が多く、外食メニューとしてのぎょうざが基準になっている」可能性が考えられます。特に長崎や熊本のようなエリアは、物価水準の割にぎょうざ価格が突出しており、原価率や提供スタイルの違いが背景にあるとみられます。
1方、低価格帯には以下のような都市が並びます:
-
鹿児島:300円(+28.21%)
-
宇都宮:303円(+2.02%)
-
仙台:323円(-5%)
特筆すべきは宇都宮で、日本有数の「ぎょうざの街」でありながら、価格水準は全国で2番目に安いという点です。これは供給競争が激しいため、価格が抑えられている典型例といえるでしょう。
また、鹿児島の28.21%という急上昇は特異であり、何らかの急な物価上昇や統計上の変動(サンプル交代等)を反映している可能性もあります。
ぎょうざ価格上昇の問題点と懸念
ぎょうざはもともと「安くてうまい」食品としての立ち位置が確立されており、価格上昇がその「庶民性」を脅かす懸念があります。特に冷凍ぎょうざは家庭の節約メニューとして重宝されているため、400円を超えると家計への影響も無視できません。
また、地方の高価格化は、地域格差を反映しており、地域によっては「ぎょうざ離れ」が起きる可能性もあります。特に外食メニューとして提供する飲食店にとって、価格転嫁の限界が来ているとすれば、ポーション(個数)を減らす、肉の量を抑えるといった「ステルス値上げ」にもつながる恐れがあります。
今後のぎょうざ価格の展望
短中期的には、ぎょうざ価格は緩やかな上昇を続けると予想されます。2025年内には平均が400円を超える可能性が高く、次のポイントは420円程度が視野に入るでしょう。
ただし、今後の動向は以下の要因によって左右されます:
-
原材料の国際価格の動向
-
円安・円高の影響
-
最低賃金の引き上げ
-
冷凍技術のさらなる進化とコスト削減
1方で、スーパーのプライベートブランド商品や業務スーパーの冷凍ぎょうざのように、「価格を抑えつつボリュームを維持」する方向性の商品も増えており、2極化が進むと見られます。
まとめ:ぎょうざは価格以上の価値を保てるか
ぎょうざは日本において「日常のぜいたく」でもあり「家計の味方」でもある不思議なポジションにいます。今後、価格上昇を受け入れつつも、「価格に見合ったおいしさ・満足感」をどれだけ維持・向上できるかが、ぎょうざ産業に問われる最大の課題といえるでしょう。
コメント