日本のきゅうり生産の現状と県別動向:収穫量減少の背景と対策

果菜類

日本のきゅうり収穫量は減少傾向にあり、2023年は前年比-3.354%。宮崎や群馬など主要県も軒並み減少し、高齢化や気候変動が課題です。今後は技術革新やブランド化、後継者支援が重要で、安定供給に向けた体制整備が求められています。

野菜収穫量のデータとグラフ

きゅうり収穫量の最大と最新

全国 宮崎 群馬 埼玉 福島 千葉 茨城 高知
最新 2023年 2023年 2023年 2023年 2023年 2023年 2023年 2023年
最大期 1979年 1994年 1984年 1978年 1982年 1979年 1974年 1973年
最新値[kt] 530.2 61.7 53.9 43.3 39.2 30.9 23.7 23.2
最大値[kt] 1089 68.6 90.4 88.8 93.2 68.3 50.2 60.6
前年比[%] -3.354 -4.341 -3.405 -1.591 -3.21 -1.592 -7.059 -9.02
全体比[%] 100 11.64 10.17 8.167 7.393 5.828 4.47 4.376

これまでの推移

きゅうりの収穫量
最新の割合

詳細なデータとグラフ

きゅうりについての推移と展望

日本のきゅうり生産は1973年から2023年にかけて緩やかな減少傾向をたどっており、2023年の全国収穫量は530.2kt(千トン)となっています。前年比では-3.354%の減少が見られ、近年は気候変動や農業従事者の高齢化、後継者不足など複合的な要因が影響しています。

きゅうりは果菜類の中でも人気が高く、年間を通じて消費される野菜である一方、露地栽培・ハウス栽培の両面で生産が可能なため、地域や季節による出荷の分散が特徴的です。


県別の生産動向と特徴

宮崎県

宮崎県は全国のきゅうり収穫量の約11.64%を占める最大の産地であり、2023年は61.7ktの生産量を記録しました。ただし前年比では-4.341%と減少傾向にあります。温暖な気候と冬季のハウス栽培による出荷が強みで、京阪神など大都市圏に向けた供給が安定しています。

群馬県

群馬県は10.17%(53.9kt)のシェアを誇り、夏季の出荷が中心です。標高の高い地域では冷涼な気候を活かした栽培が行われており、味や品質に定評があります。前年比では-3.405%とわずかな減少にとどまっています。

埼玉県

埼玉県は首都圏の消費地に近接しており、物流の優位性を活かした出荷が強みです。43.3ktの収穫量で全国比8.167%、前年比-1.591%と比較的安定した数値を維持しています。

福島県

福島県は復興支援の一環として農業の再生が進められており、39.2kt(全国比7.393%)を記録しました。前年比は-3.21%と全国平均に近い水準で減少しており、栽培の継続性が課題となっています。

千葉・茨城・高知県

千葉県(30.9kt)、茨城県(23.7kt)、高知県(23.2kt)は、それぞれ5.828%、4.47%、4.376%の全国比を占めています。中でも高知県はハウス栽培が盛んで高品質なきゅうりを出荷していますが、前年比-9.02%と大幅な減少が見られ、気象条件の悪化や燃料コストの上昇などが影響しています。


課題と構造的問題

きゅうりの生産減少の背景には、以下のような要因があります:

  • 高齢化に伴う農業労働力の減少

  • 燃料費・資材費の高騰による経営圧迫

  • 気候変動による病害虫の増加や品質の不安定化

  • 若年層の新規就農者不足

加えて、長時間労働や収穫時期の集中による負担の大きさも、生産量減少の一因とされています。


今後の展望と対策

技術革新と省力化の推進

AIやIoTを活用した環境制御型施設園芸の導入が進みつつあり、収穫の省力化や品質の安定化が期待されています。

地域ブランドの強化

県別に特徴ある品種やブランド化を図ることで、付加価値を高め、販路の拡大や輸出にもつなげる取り組みが重要です。

後継者育成と農業支援政策

新規就農者への補助金や技術指導体制の強化、農業法人化による労働分担の効率化などが、生産の維持・拡大の鍵となります。

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