からあげ100gの全国平均小売価格は2025年4月時点で231.1円と上昇傾向にあり、特に九州・四国地方で高値が目立ちます。鶏肉や油の原材料費、人件費の高騰に加え、高品質志向の需要が価格を押し上げています。一方、北陸や東海では価格が比較的安価で、冷凍食品の普及や地域の価格競争が影響しています。今後も価格差は継続し、唐揚げは生活物価のバロメーターとして注視が必要です。
小売物価統計
からあげ小売りの高い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 甲府 | 福岡 | 佐賀 | 大分 | 高知 | 熊本 | 宮崎 | 高松 | 松江 | 松山 |
最新値[円] | 231.1 | 263 | 253 | 252 | 251 | 249 | 249 | 248 | 246 | 246 | 240 |
前年同月比[%] | +2.433 | +9.583 | +5.858 | +7.234 | +6.809 | +2.469 | +10.67 | +1.224 | +4.681 | +2.128 |
からあげ小売りの安い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 鹿児島 | 長野 | 奈良 | 大津 | 津 | 富山 | 徳島 | 静岡 | 金沢 | 新潟 |
最新値[円] | 231.1 | 203 | 211 | 214 | 215 | 215 | 216 | 216 | 216 | 218 | 219 |
前年同月比[%] | +2.433 | -5.14 | -6.222 | -2.283 | +0.467 | -1.376 | +6.404 | +2.37 | +0.465 | +2.347 | +0.922 |
からあげの推移


詳細なデータとグラフ
からあげの現状と今後
唐揚げは日本人の国民食ともいえる存在で、弁当の主役から総菜売り場の定番まで広く親しまれています。そのため、唐揚げの小売価格は単なる食品価格にとどまらず、地域ごとの消費傾向、物流・人件費、原材料価格など日本の生活物価の縮図とも言えます。
2025年4月のデータでは、全国平均は231.1円/100g。この価格は2020年代初頭の物価上昇の波を受けて上昇傾向にあり、地域ごとの差も拡大傾向です。
長期的な価格の推移 ― 安価な国民食から高級惣菜へ?
2010年1月のデータから見ると、唐揚げの小売価格は当初200円前後で推移していました。比較的安価でボリュームもあり、家庭用総菜としての需要が高まる中、2021年以降の物価上昇期により大きな転換点を迎えます。
主な要因は以下の通りです:
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鶏肉価格の上昇(国産比率の高さと飼料高騰)
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油や調味料の原材料価格の高騰
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惣菜店・スーパーの人件費上昇
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プラスチック容器など包装資材コストの増加
これらの要素が重なり、特に2022年~2024年にかけて価格は1段高に。2025年春時点で231.1円と、10年前より約15%以上上昇しています。
価格の高い都市 ― 9州勢と中4国の強さ
価格の高い地域トップ10を見ると、以下の傾向が読み取れます:
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甲府(263円)
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福岡(253円)
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佐賀(252円)
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大分(251円)
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高知(249円)
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熊本(249円)
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宮崎(248円)
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高松(246円)
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松江(246円)
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松山(240円)
これらは主に9州・中国・4国エリアに集中しています。地場の食品産業が豊かで惣菜販売が活発な1方で、仕入れ価格の上昇や個人商店型の販売比率の高さから、単価が上がりやすいと考えられます。
特に注目すべきは熊本(+10.67%)や甲府(+9.583%)といった、前年比の価格上昇率が極めて高い都市。これは1部の地域でプレミアム志向の惣菜が強まり、品質や安全性を重視した唐揚げが主流となりつつあることを示しています。
価格の低い都市 ― 鹿児島、長野、富山などの傾向
1方、価格が低めの地域は以下の通りです:
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鹿児島(203円)
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長野(211円)
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奈良(214円)
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大津(215円)
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津(215円)
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富山(216円)
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徳島(216円)
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静岡(216円)
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金沢(218円)
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新潟(219円)
これらは北陸・中部・東海地方や地方都市が中心です。地元の中小スーパーが激しい価格競争を行っており、コスト削減型の業務惣菜や冷凍唐揚げの利用が広がっていることが1因です。
特に鹿児島(-5.14%)や長野(-6.222%)では、前年比でも値下がり傾向にあり、生活防衛意識の強い地域性や、安価な冷凍品の流通量が反映されていると見られます。
価格上昇の主な要因
2020年代におけるからあげ価格の上昇には、以下のような構造的な要因があります:
鶏肉(ブロイラー)価格の高騰
輸入飼料価格の高止まり、輸送コスト増、鳥インフルエンザ対策などにより、国産鶏肉の価格が上昇。スーパーなどではこれを惣菜価格に反映せざるを得ません。
人手不足による製造・販売コストの増加
唐揚げは製造工程が多いため、パートやアルバイトの人件費増が価格に直結します。とくに地域の中規模スーパーでは手作りを重視するケースが多く、影響が大きいです。
油や調味料などの副材料価格の上昇
食用油やにんにく、生姜、酒などは価格変動の影響を受けやすく、複合的なコスト要因として価格を押し上げます。
総菜市場における高品質志向
1部地域では、「無添加」「地鶏使用」「2度揚げ」などの高付加価値なからあげが人気で、単価を押し上げる要因となっています。
今後のからあげ価格の見通し
短期的には、からあげ価格は横ばい~やや上昇で推移すると予想されます。2024年後半以降、物価の上昇率は鈍化しつつあるものの、エネルギー・物流・人件費の高止まりが続く限り、大きく値を下げる可能性は低いでしょう。
中長期的には以下のようなトレンドが予測されます:
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プライベートブランド商品の拡大による競争促進
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冷凍唐揚げとのシェア争い(安価・長期保存が可能)
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健康志向型の「揚げない唐揚げ」市場の成長
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フードデリバリー市場との連動による単価上昇
都市ごとの価格差は今後も続く見通しで、特に9州や4国では高単価・高品質志向が1層進む可能性があります。
まとめ
からあげ100gあたりの小売価格は、全国平均で231.1円とやや高値で推移しています。地域によって価格や上昇傾向に差があり、地場の惣菜文化や仕入れルートの違いが大きく影響しています。今後も惣菜としての人気は続くものの、価格は生活コストを反映する敏感な指標として、今後の消費動向や原材料事情に注目が必要です。
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