2025年4月のかまぼこ100g平均価格は195.7円で前年比+1.1%。最高値は佐世保の322円、最低は新潟の128円と地域差が大きく、一部で前年比30%超の下落も。原材料費や人件費の高騰が続く中、今後は高級品と安価品の二極化が進み、平均価格は緩やかに上昇する可能性が高い。
小売物価統計
かまぼこ小売りの高い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 佐世保 | 函館 | 西宮 | 府中 | 和歌山 | 藤沢 | 甲府 | 松阪 | 津 | 松本 |
最新値[円] | 195.7 | 322 | 270 | 257 | 253 | 253 | 250 | 244 | 243 | 236 | 233 |
前年同月比[%] | +1.097 | +5.921 | +2.273 | -1.154 | +10 | -5.597 | +1.25 | -2.479 | +8.372 |
かまぼこ小売りの安い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 新潟 | 八戸 | 福井 | 広島 | 山口 | 長崎 | 大津 | 宇部 | 熊谷 | 秋田 |
最新値[円] | 195.7 | 128 | 138 | 138 | 147 | 148 | 152 | 155 | 157 | 157 | 159 |
前年同月比[%] | +1.097 | -29.67 | -6.122 | -26.6 | +4.255 | -6.918 | -12.92 | -20.3 | -2.484 | +3.247 |
かまぼこの推移


詳細なデータとグラフ
かまぼこの現状と今後
2025年4月時点での全国平均価格は195.7円/100g。前年同月比で+1.097%の上昇となっており、じわじわと価格が上がっている傾向がうかがえます。
2010年からの15年間で見ると、かまぼこ価格は緩やかな上昇傾向を示しており、特に2020年以降の物流費・原材料費の高騰、エネルギーコスト上昇がこの上昇に拍車をかけています。
価格の地域差とその要因
価格分布を見れば、最高値(佐世保322円)と最低値(新潟128円)で、194円もの差があり、これはちくわ以上の格差です。
高価格地域(上位10)
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佐世保:322円(+5.92%)
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函館:270円(+2.27%)
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西宮:257円(-1.15%)
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府中:253円(+10.0%)
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和歌山:253円(-5.60%)
これらの地域では、地元水産業との結びつきが強い老舗店や高級品志向の消費文化が影響しています。佐世保や函館、西宮などは贈答用や高品質な「板付きかまぼこ」などが多く流通し、平均価格を押し上げています。
低価格地域(下位10)
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新潟:128円(-29.67%)
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8戸・福井:138円(-6.12%、-26.6%)
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広島:147円(+4.26%)
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山口:148円(-6.92%)
これらの地域では、量販店向けの汎用かまぼこが多く、価格競争が激しいのが特徴です。特に新潟や福井は前年同月比で2〜3割も価格が下がっており、地元需要の低下や業者の撤退が影響している可能性があります。
かまぼこ価格を左右する3つの構造要因
原材料(すり身)の価格と種類
かまぼこの原料は主にスケソウダラなどの白身魚。これらは海外輸入(特にロシア・アメリカ)に依存しており、近年の国際情勢の緊張や漁獲制限で価格が不安定化しています。加えて、高級かまぼこでは「グチ」「ハモ」など高価な魚が使われるため、商品によって価格差が拡大しています。
製造・職人技術と機械化の差
かまぼこは伝統的に職人の技術が求められるため、人件費が価格に大きく反映されます。1方で、機械成型による低価格商品の増加も進んでおり、価格の2極化が進行中です。
需要構造と用途の多様化
かまぼこは「正月のおせち料理」など季節的な需要が中心で、通年での消費は減少傾向にあります。最近は健康志向や高たんぱく食として見直されており、フィットネス層からの需要増もある1方で、主婦層や若年層の調理離れによる「日常的な購入」は減少しています。
価格動向のゆがみとリスク
今回、低価格地域の1部(新潟、福井、宇部など)で前年比20〜30%超の価格下落が見られます。これは1時的な在庫処分や店舗撤退の影響の可能性もあるものの、
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過当競争による価格崩壊
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小規模業者の淘汰
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地元消費者の価格重視傾向
といった構造的なリスクも示唆しています。特に、新潟のように水産業がある程度ある地域でもここまで価格が下がっているのは、地元製品のブランド力低下が背景にある可能性があります。
今後のかまぼこ価格の展望
今後の価格は、品質による2極化が進む中で、平均価格は緩やかに上昇していく可能性があります。
上昇圧力
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原材料魚の漁獲不安・価格高止まり
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人件費・光熱費の継続的上昇
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贈答用需要や高齢者向け高級商品の拡大
抑制要因
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量販店やコンビニ向けPB品の強化
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機械化による低コスト化
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消費者の節約志向
かまぼこは「伝統と合理性」の間にある食品であり、その価格は今後も社会の変化に左右されます。中長期的には、高付加価値かまぼこが高価格帯を支えつつ、日常品としての廉価品が市場を支える構造が続くと考えられます。
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