日本のかぶの収穫量は近年横ばい~減少傾向で、2023年は98.6kt。千葉が最大の産地で全体の27%を占め、埼玉や青森なども上位を維持。高齢化や農地減少により生産環境は厳しさを増す一方、ブランド化や加工品需要の伸びで持続可能な展開も可能。地域性と市場性を活かした取り組みが今後の鍵となる。
野菜収穫量のデータとグラフ
かぶ収穫量の最大と最新
全国 | 千葉 | 埼玉 | 青森 | 滋賀 | 京都 | 福岡 | 岐阜 | |
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最新 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 |
最大期 | 1987年 | 1987年 | 1988年 | 2009年 | 1990年 | 1985年 | 1996年 | 1978年 |
最新値[kt] | 98.6 | 26.7 | 14.6 | 5.54 | 4.37 | 3.94 | 3.42 | 3.06 |
最大値[kt] | 216.6 | 53 | 25.1 | 9.45 | 11.2 | 8.01 | 6.57 | 8.48 |
前年比[%] | -6.185 | -2.555 | -10.43 | -3.484 | 0 | -10.66 | -3.39 | -2.236 |
全体比[%] | 100 | 27.08 | 14.81 | 5.619 | 4.432 | 3.996 | 3.469 | 3.103 |
これまでの推移


詳細なデータとグラフ
かぶについての推移と展望
かぶは、日本の伝統的な根菜の一つで、冬を中心に多く消費される重要な野菜です。本稿では1973年から2023年における収穫量の推移、産地別の特徴、近年の課題と今後の見通しについて、詳細に解説します。
収穫量の長期的推移と全国平均
かぶの全国収穫量は、1970年代から大きな変動を繰り返してきました。最新の2023年データでは全国で約98.6ktとなっており、近年はやや横ばいか減少傾向にあります。これは、気候変動や高齢化、農地減少、食生活の多様化による需要の変化などが背景にあります。
主要産地の最新状況と比較分析
■ 千葉県(26.7kt)
最大の産地であり、全国の収穫量の27%以上を占めます。平均比も27.08%と高く、安定した出荷体制が維持されていますが、前月比では-2.555%とわずかに減少。首都圏への近さを活かした出荷が強みです。
■ 埼玉県(14.6kt)
第2位の産地であり、平均比でも14.81%と全国平均を大きく上回っています。前月比は-10.43%と急減していますが、都市近郊農業の一角として重要です。
■ 青森県(5.54kt)
東北の主要産地。平均比5.619%、前月比-3.484%と安定した数字を示しており、寒冷地特有の甘みのあるかぶが評価されています。
■ 滋賀県・京都府・福岡県・岐阜県
それぞれ平均比は3~4%台で、地方色のある品種や地場消費に強みがあります。中でも京都府では京野菜としてブランド力を持つかぶもあり、地域振興にも貢献しています。
収穫量減少の背景と課題
近年のかぶ収穫量減少の背景には、以下の要因が挙げられます:
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高齢化による生産者減少
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畑作転換による生産面積の縮小
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温暖化による病害リスクの増大
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消費者の野菜離れや調理簡略化ニーズ
特に中山間地域では、手間のかかる根菜の維持が困難になっており、かぶも例外ではありません。
今後の推移と展望
● 生産面
大規模集約化やICT農業の導入が進めば、千葉や埼玉のような平野部中心に安定供給が見込まれます。一方で、中小農家の退出が続けば、生産集中によるリスクの高まりもあります。
● 消費面
地場ブランドや健康志向により、特定品種や無農薬野菜としての付加価値を持たせる方向が重要です。惣菜化や加工品(漬物など)での消費拡大もカギとなるでしょう。
おわりに
日本のかぶ生産は、地域性と季節性に根ざした文化的価値を持っています。今後も安定した生産と需要拡大の両立が求められます。そのためには、生産支援政策や販路の拡充、地元消費の促進が重要です。
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