2025年3月時点でおでん1kgの平均価格は685.9円で、前年比+4.9%。長崎や長野などでは20~40%超の急騰が見られ、対して大分では1割超の下落。背景には原材料高、物流費、地域の需要性向などがあり、今後は価格の二極化や地域差の固定化が進む可能性が高い。
小売物価統計
おでん小売りの高い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 長崎 | 長野 | 鹿児島 | 甲府 | 福岡 | 仙台 | 山形 | 横浜 | さいたま | 東京都区部 |
最新値[円] | 685.9 | 944 | 894 | 813 | 800 | 789 | 778 | 759 | 758 | 752 | 733 |
前年同月比[%] | +4.918 | +48.66 | +20.49 | +24.31 | +12.83 | +16.37 | +22.14 | +20.09 | +11.14 | +3.867 | +5.772 |
おでん小売りの安い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 大分 | 静岡 | 秋田 | 大津 | 神戸 | 岡山 | 松山 | 高松 | 高知 | 前橋 |
最新値[円] | 685.9 | 573 | 602 | 603 | 617 | 617 | 618 | 618 | 618 | 618 | 619 |
前年同月比[%] | +4.918 | -10.47 | -1.634 | +0.5 | -1.28 | +4.047 | +3 | +3 | +3 | +3 | +2.314 |
おでんの推移


詳細なデータとグラフ
おでんの現状と今後
2025年3月時点での日本全国におけるおでん1kgの平均小売価格は685.9円。2024年同月と比較すると、+4.918%の上昇となっています。これは近年の原材料費や物流費の上昇が依然として家庭用加工食品にも影響を与えていることを示しています。特におでんのように、練り物・出汁・具材の多様性がある食品は、その構成要素のどれか1つの価格変動でも大きく影響を受けます。
高価格地域の特徴と背景
価格が高い上位10都市は以下の通りです:
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長崎:944円(+48.66%)
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長野:894円(+20.49%)
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鹿児島:813円(+24.31%)
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甲府:800円(+12.83%)
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福岡:789円(+16.37%)
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仙台:778円(+22.14%)
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山形:759円(+20.09%)
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横浜:758円(+11.14%)
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さいたま:752円(+3.867%)
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東京都区部:733円(+5.772%)
特筆すべきは長崎の価格急騰(+48.66%)で、これは地域特有の製造工程や原料調達におけるコスト増、もしくは地元企業の価格転嫁が進んだ可能性があります。また、寒冷地や内陸部(山形・長野など)では、保存性・ボリューム重視のおでんセットが重宝されており、高価格帯の商品が売れ筋となっている可能性も高いです。
低価格地域の傾向と背景
1方で、おでん1kgが安価に手に入る地域は以下の通り:
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大分:573円(-10.47%)
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静岡:602円(-1.634%)
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秋田:603円(+0.5%)
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大津・神戸:617円(それぞれ-1.28%、+4.047%)
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岡山~前橋:618~619円台(+2~3%前後)
大分の価格下落(-10.47%)は極めて目立ちますが、これは特売や地域小売店の競争の激化、もしくは安価なPB(プライベートブランド)商品の普及が影響していると考えられます。また、4国地方(松山・高松・高知)が全て618円で横並びとなっている点も興味深く、地方卸や共同仕入れ体制の強さがうかがえます。
過去から現在までの価格形成の背景
2020年から2025年の間に、日本国内ではコロナ禍による外食需要の減退と家庭内調理の復活があり、おでんなどの調理済みセット食品の需要が高まりました。1時的に価格が下がった時期もあったものの、2022年以降は原材料価格の高騰(特に魚肉練り製品、卵、昆布、だし原料)や物流費上昇により、価格は上昇傾向にあります。
さらに2024年には円安の進行とエネルギーコストの上昇が製造・包装・流通工程にまで波及し、これがおでんにも反映されました。
今後の価格推移予測と課題
原材料コストの安定化が鍵
魚肉や練り物の原料であるすり身は海外輸入が多く、為替動向に大きく影響を受けます。今後円高が進めば価格の落ち着きも見込めますが、地政学リスクや輸送コストの不透明感が価格不安定要因となります。
消費者の選別志向の進行
「安価だがお腹がふくれる」おでんセットではなく、素材にこだわった高級志向セット(例:地元産卵・昆布・魚)も1部都市圏で人気が高まっており、今後は価格帯の“2極化”も進むと予想されます。
地域差の定着化と生活様式の影響
都市圏では共働き家庭向けの時短・加熱済みおでんセットが人気ですが、地方では自炊派も多く、家庭調理用の具材セットやバラ売り対応が主流です。この違いが価格水準の地域差を固定化しています。
まとめと展望
今後の日本のおでん価格は、「物価上昇圧力」「原材料確保」「消費者ニーズの分化」によって影響を受け続けます。コスト抑制の工夫、地域特性に合わせた商品戦略が求められる中、価格そのものよりも“内容と満足度のバランス”が1層重視されていくでしょう。メーカーや小売業者がいかに柔軟に対応できるかが、おでんの未来を左右します。
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