2025年いわし価格動向|平均93円、地域差と価格変動の背景分析

食料品



2025年4月のいわし100g平均価格は93.33円で前年比+5.415%。金沢や盛岡などで高騰が目立つ一方、大津や大阪では低価格を維持。気候変動や流通コストが価格に影響し、魚離れの中で需要は低迷。今後は栄養価の再認識や加工技術の発展により、価格安定と消費拡大が期待される。

小売物価統計

いわし小売りの高い都市

2025年4月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
名称 平均 金沢 府中 所沢 松山 長崎 盛岡 和歌山 西宮 熊本 伊丹
最新値[円] 93.33 133 122 119 116 114 114 114 113 113 113
前年同月比[%] +5.415 +20.91 +2.521 +35.23 +9.434 +1.786 +60.56 +18.75 +63.77 +11.88 -7.377

いわし小売りの安い都市

2025年4月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
名称 平均 大津 奈良 大阪 東大阪 福山 高知 岡山 松阪 前橋
最新値[円] 93.33 56 59 64 68 69 71 74 76 76 78
前年同月比[%] +5.415 -3.448 +3.509 -3.03 +28.3 +7.813 -6.579 +8.824 -10.59 +7.042 -9.302

 

いわしの推移

いわし小売り価格
最新のデータ

 

詳細なデータとグラフ

 

いわしの現状と今後

2025年4月時点でのいわし100gの全国平均小売価格は93.33円と、魚類の中でも依然として手ごろな価格帯を維持しています。これは前年同月比で+5.415%の上昇となっており、昨今の食品全体のインフレ傾向と同様に、いわしも着実に値上がりしている状況です。

高価格地域では、金沢(133円)府中(122円)、所沢(119円)などが上位に位置し、1方で低価格地域としては、大津(56円)奈良(59円)大阪(64円)などが挙げられます。地域間の価格差は最大77円以上となっており、同じいわしであっても流通環境や消費文化の違いが大きく反映されています。


価格上昇の主な要因

漁獲量の変動と気候要因

いわしは沿岸性の魚であり、黒潮の蛇行や海水温の上昇など、気象環境の変化に極めて敏感です。特に近年は漁獲量が年ごとに大きく変動しており、これが価格に直接影響しています。漁獲量が減少した年には価格が跳ね上がり、逆に豊漁の年には1時的に価格が低下します。

2025年4月時点の価格上昇も、前年度の漁獲減が影響している可能性が高く、とくに内陸部や都市部では調達コストの増加が価格に転嫁されています。

輸送・流通コストの上昇

2020年代に入り、物流業界の人手不足や燃料費高騰により、水産品の流通コストが上昇しています。特に低単価の商品であるいわしでは、輸送コストの上昇が相対的に価格全体に与える影響が大きく、地方都市ではその影響が如実に表れています。

地域別の需要と価格設定の違い

たとえば、盛岡(+60.56%)西宮(+63.77%)といった地域で大幅な価格上昇が見られる背景には、地元のスーパーでの取り扱い量の減少や、輸入品に対する消費者の回避傾向があると見られます。また、安価な地域では安定的な地場流通や、冷凍いわしの活用などが価格を抑える要因になっていると考えられます。


いわし市場の構造的な課題

若年層の魚離れと需要減少

安価で栄養価が高い1方で、調理の手間や匂いを敬遠する若年層の魚離れが進行しており、いわしの需要が全国的に縮小傾向にあります。加工品や惣菜の形での提供は増えているものの、生鮮品としての販売は苦戦が続いています。

国産偏重と輸入リスク

いわしは冷凍輸入も行われていますが、多くの消費者は国産品を好む傾向が強く、漁獲量の減少が直ちに市場に響きやすい構造です。これは価格の安定性を損なう要因となっており、結果として価格変動の激しい食材となりつつあります。


今後のいわし価格の見通しと戦略的期待

消費促進への鍵:栄養価の再認識

いわしはDHA・EPA、カルシウム、ビタミンDなどを豊富に含んでおり、健康志向の高まりと相性が良い食材です。「安い」「健康に良い」「調理が簡単」というイメージを広げることで、再評価される余地があります。学校給食や高齢者施設向けの導入が進めば、価格安定と流通活性化が期待できます。

冷凍・加工技術の高度化による普及

調理の手間を減らすために、骨取り済みの冷凍いわしや、味付きパック製品の流通拡大が鍵となります。技術革新により、保存性と品質を両立できれば、家庭での利用も広がり、需要増加につながります。

環境変動への漁業戦略

いわしは周期的に豊漁と不漁を繰り返す魚であるため、中長期の資源管理や水温予測技術の活用が不可欠です。政府や研究機関が連携してデータを蓄積し、早期警戒モデルを構築することで、価格の乱高下を抑える取り組みが求められます。

 

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