日本のいちご1kgあたりの小売価格は2025年3月時点で平均2,240円と高水準。長岡や那覇などでは物流費やブランド需要が影響し高価格。一方、盛岡や熊本などの低価格地域でも前年比80%超の急騰が見られる。要因には気候変動、燃料費高騰、人手不足などがある。今後はスマート農業の導入や新品種開発により、価格と供給の安定が求められる。
食料品の都市別小売価格
いちごの高い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
名称 | 平均 | 長岡 | 那覇 | 金沢 | 松山 | 福岡 | 新潟 | 大阪 | 札幌 | 富山 | 松江 |
最新値[円] | 2240 | 2672 | 2626 | 2604 | 2595 | 2583 | 2566 | 2558 | 2551 | 2458 | 2450 |
平均比[%] | 100 | 119.3 | 117.2 | 116.2 | 115.8 | 115.3 | 114.5 | 114.2 | 113.9 | 109.7 | 109.4 |
前年月同比[%] | -1.719 | 15.82 | -8.15 | 14.26 | 2.125 | 0 | 9.893 | -0.467 | -0.546 | -0.446 | -9.192 |
いちごの低い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
名称 | 平均 | 盛岡 | 熊本 | 静岡 | 福山 | 日立 | 水戸 | 山口 | 和歌山 | 府中 | 豊橋 |
最新値[円] | 2240 | 1814 | 1832 | 1867 | 1927 | 1944 | 1953 | 1998 | 2008 | 2010 | 2020 |
平均比[%] | 100 | 80.98 | 81.78 | 83.34 | 86.02 | 86.78 | 87.18 | 89.19 | 89.64 | 89.72 | 90.17 |
前年月同比[%] | -1.719 | 19.66 | -12.18 | -11.1 | -5.261 | -7.692 | 10.4 | -6.197 | 13.38 | 4.253 | 0 |
これまでの果物の推移


詳細なデータとグラフ
いちごの現状と今後
いちごは日本の果物の中でも人気が高く、贈答用から日常消費まで幅広く用いられています。2025年3月時点での1kgあたりの全国平均小売価格は2,240円で、過去10年間を通じて安定的な上昇傾向を示しています。2014年当初は1,600円前後が中心価格帯でしたが、輸送費や資材費の高騰、栽培における人件費増加などを背景に徐々に価格は上昇し、現在では2,000円を下回る地域の方が少なくなっています。
いちご高価格地域の特徴と背景
長岡(2,672円)・那覇(2,626円)・金沢(2,604円)
これらの地域では、他地域に比べて輸送費のコスト増が価格上昇の一因となっています。特に那覇のような島しょ地域では、内地からの運搬コストが大きく反映されやすく、価格が高騰しやすい傾向があります。
また、長岡や金沢では、ブランド化された高品質いちごの流通が盛んであり、贈答用途での需要が高いことも価格に反映されています。
地方都市における高価格帯
福岡(2,583円)、松山(2,595円)なども高価格帯にあります。福岡は「博多あまおう」など有名ブランドいちごの生産地として知られ、その品質と希少性が価格に反映されています。
いちご低価格地域の特徴と価格の急騰
盛岡(1,814円)、熊本(1,832円)など
これらの地域はいちごの価格が比較的安価で推移している一方で、前年比で80%超の価格上昇が見られます。具体的には、盛岡が+80.98%、熊本が+81.78%、豊橋では90.17%という極端な伸び率が観察されています。
急激な価格上昇の要因
-
気候変動による収穫量の減少(例:暖冬や干ばつによる生育不良)
-
肥料・燃料価格の高騰によるコスト増
-
物流の人手不足と燃料費高による配送費の上昇
-
パック詰め加工・輸出向け需要の拡大(特に東南アジア向け)
このような要因により、低価格地域であっても短期的に価格が急騰する現象が起きています。
価格の上昇と消費者・生産者の課題
消費者側の影響
価格の上昇により、家計の負担感が強まっているのは間違いありません。特に贈答品として購入していた層は、購入頻度を減らしたり、ランクを落とす動きも出ています。
生産者側の悩み
生産者にとっても、収入の増加が原価上昇に追いつかないケースが多くなってきました。いちごはハウス栽培が多く、暖房費・電気代の高騰は死活問題となっています。
今後の見通しと注目ポイント
-
スマート農業の導入:省エネ化や生産効率の向上により、コスト削減の取り組みが進行中。
-
地域ブランドの強化:地産地消や輸出強化により、付加価値を付けた高価格戦略が広がりつつある。
-
気候適応型品種の開発:病害虫・気温変動に強い新品種の開発により、生産安定化を目指す。
今後も価格は高止まりの傾向を見せると考えられますが、産地間の競争と技術革新によって、安定供給と価格抑制の両立が期待されます。
まとめ
日本におけるいちご1kgの小売価格は、平均2,240円と依然として高い水準にあります。都市別に見ると、物流コストやブランド需要の影響で価格に大きな差があり、近年の急激な価格上昇は全国的な傾向となっています。今後は、生産技術の進化と市場の最適化によって、価格の安定と供給の持続性が問われる時代に入っていくと考えられます。
コメント