あさりの価格が過去最高水準に上昇中|地域差と高騰要因を徹底解説

食料品



2025年3月時点で日本のあさり100gの平均価格は174.3円と過去15年で高水準を記録。都市別では山口や静岡が高価格を示す一方、佐賀や長岡などの安価な地域でも前年比60%以上の価格上昇が確認された。価格高騰の背景には、漁獲量の減少、気候変動、輸入依存の不安定さ、物流費の高騰などがある。今後は安定供給の確保や持続可能な漁業支援が求められる。

食料品の都市別小売価格

あさりの高い都市

2025年3月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
名称 平均 山口 静岡 名古屋 和歌山 宇部 枚方 函館 伊丹 豊橋 大津
最新値[円] 174.3 253 237 231 223 220 218 214 211 209 208
平均比[%] 100 145.2 136 132.5 127.9 126.2 125.1 122.8 121.1 119.9 119.3
前年月同比[%] 4.33 5.858 18.5 20.31 6.699 73.23 -8.403 -25.95 19.21 0 27.61

あさりの低い都市

2025年3月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
名称 平均 佐賀 長岡 秋田 水戸 日立 八戸 川口 新潟 所沢
最新値[円] 174.3 108 115 117 119 120 122 123 125 129 130
平均比[%] 100 61.96 65.98 67.13 68.27 68.85 70 70.57 71.72 74.01 74.59
前年月同比[%] 4.33 -14.29 -4.167 -6.4 9.174 -20.53 -8.271 0.82 0 24.04 -19.75

 

これまでの魚類他の推移

あさりの小売り価格
最新のデータ

 

詳細なデータとグラフ

 

あさりの現状と今後

2025年3月時点でのあさりの全国平均価格は174.3円/100g。この価格は過去15年間の中でも高水準であり、特に2020年以降の価格上昇が顕著です。

長期的傾向:

  • 2010年〜2015年:比較的安定(120〜140円台)

  • 2016年〜2019年:徐々に上昇傾向に入り、150円前後に

  • 2020年以降:コロナ禍、漁獲減、物流混乱などで価格が上昇加速

  • 2024年〜2025年:円安・気候変動・輸入依存の強まりでさらなる高騰


都市別の価格分布と地域特性

高価格帯の都市(トップ10)

都市名 価格(円/100g) 増加率(前年比)
山口 253 +5.86%
静岡 237 +18.5%
名古屋 231 +20.31%
和歌山 223 +6.7%
宇部 220 +73.23%
枚方 218 -8.4%
函館 214 -25.95%
伊丹 211 +19.21%
豊橋 209
大津 208 +27.61%

高価格の都市に共通するのは、都市圏での需要が高く、供給量が不足気味であることや、輸送コストの影響が大きいエリアであることです。

特に宇部市の73.23%増大津の27.61%増は、地域特有の流通のひっ迫や需給バランスの崩れが反映されています。一方で函館や枚方のように価格が下がっている都市もあり、地域ごとの事情が浮き彫りになっています。


低価格帯の都市(下位10)

都市名 価格(円/100g) 増加率(前年比)
佐賀 108 +61.96%
長岡 115 +65.98%
秋田 117 +67.13%
水戸 119 +68.27%
日立 120 +68.85%
八戸 122 +70%
川口 123 +70.57%
125 +71.72%
新潟 129 +74.01%
所沢 130 +74.59%

この価格帯では価格自体は全国平均より低いものの、前年比での増加率は軒並み60〜75%と極めて高いことが特徴です。

これは、もともと安価であった地域に対して、近年の供給不足やコスト上昇が一気に転嫁された結果とみられます。特に関東近郊(川口・柏・所沢など)では、都市部の需要と地方供給のバランスのずれが影響しています。


あさり価格高騰の要因

国内漁獲量の減少

  • 有明海や三河湾などの主要産地で、漁獲量が激減

  • 原因:水質変化、海砂の流出、外来種(ツメタガイなど)の影響、赤潮発生など

気候変動による影響

  • 水温の上昇によりあさりの成育が阻害

  • 台風や大雨による漁場破壊も影響

輸入品への依存とその不安定性

  • 中国・韓国からの輸入あさりへの依存が高いが、

    • 国際関係の緊張

    • 衛生基準の強化(特に中国産に対する日本のチェックが強化)

    • 円安による輸入コストの上昇→ 国内流通が安定せず、価格高騰

コロナ禍とその余波

  • 漁業従事者の高齢化、人手不足

  • 外食需要の回復による業務用需要の増加

  • 物流の人手不足と燃料費高騰も価格に反映


今後の見通しと課題

今後の見通し

  • 安定供給はしばらく困難

  • 国産あさりの増産には長期間が必要

  • 輸入先の多様化・安全性確保が課題

  • 海洋環境の改善と漁場保全が急務

政策と市場対応の必要性

  • 漁場回復プロジェクトへの公的支援

  • 国産と輸入のバランス調整

  • 流通段階での価格抑制策(補助金、物流効率化など)


まとめ

あさりの価格上昇は単なる物価変動にとどまらず、日本の水産業、輸入依存、流通の脆弱性、そして地球環境問題を反映したものです。特に都市別での増減のばらつきは、地域社会の需要供給のミスマッチや、インフラ・物流格差の影響を如実に物語っています。

今後は国と地域、そして消費者それぞれがこの価格変動とどう向き合うかが問われています。持続可能な漁業と消費のバランスが、より強く求められる時代に入ったと言えるでしょう。

 

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