砂糖1kgの小売価格は2010年以降ゆるやかに上昇し、2025年4月の全国平均は279.9円。地域差が大きく、輸送コストや地元経済が影響。近年は国際市況や為替、気候の影響で価格変動が増加。今後は安定供給と価格調整の両立が課題となる。
小売物価統計
砂糖小売りの高い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 那覇 | 山形 | 長崎 | 徳島 | 函館 | 熊本 | 高松 | 松山 | 佐世保 | 福山 |
最新値[円] | 279.9 | 387 | 319 | 318 | 314 | 313 | 306 | 303 | 303 | 303 | 301 |
前年同月比[%] | +2.9 | +5.281 | +0.952 | -0.946 | +1.623 | +8.897 | +1 | +2.02 | +3.767 | +2.034 |
砂糖小売りの安い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 前橋 | 甲府 | 長野 | 富士 | 熊谷 | 奈良 | 所沢 | 松本 | 柏 | 津 |
最新値[円] | 279.9 | 219 | 228 | 239 | 242 | 243 | 244 | 246 | 249 | 249 | 254 |
前年同月比[%] | +2.9 | -2.667 | -4.603 | +4.31 | +4.292 | +3.83 | +4.184 | +3.673 |
砂糖の推移


詳細なデータとグラフ
砂糖の現状と今後
日本の砂糖1kgあたりの小売価格は、2010年から2025年4月までにゆるやかな上昇傾向を示してきました。2025年4月時点での全国平均は279.9円。これは、エネルギー価格や原材料費、物流費の上昇、為替レートの変動など、多くのマクロ経済的要因に影響を受けた結果といえます。
特に近年は、世界的なサトウキビの不作や気候変動による収穫量の減少、さらには円安に伴う輸入コストの上昇が影響し、国内価格に波及しています。
地域差の構造とその要因
砂糖の価格には地域ごとに顕著な差が見られます。2025年4月時点で最も高い那覇市は387円と、全国平均を大きく上回ります。那覇に限らず、離島・地方都市の高価格帯には以下のような要因が挙げられます:
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離島・遠隔地ゆえの輸送コスト増
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地元小売店の価格競争の少なさ
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大手スーパーの進出度合いの違い
1方、前橋(219円)、甲府(228円)など内陸都市では全国平均を大きく下回る価格水準となっています。これには次のような背景が考えられます:
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輸送コストの低さ
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首都圏との物流ネットワークの近接
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激しい価格競争による低価格化
このように、地理的条件と流通構造が砂糖価格の地域差に大きく影響しています。
最近の価格変動から見る地域別の傾向
前年同月比で見た場合、価格上昇が著しいのは熊本(+8.897%)、山形(+5.281%)など。これらは燃料費高騰や地域経済の回復、あるいは天候不順による輸送事情の影響が考えられます。
逆に甲府(-4.603%)や前橋(-2.667%)では前年よりも価格が下がっており、地域的な競争激化、ディスカウント傾向、在庫調整といった要因が作用した可能性があります。
このように、価格変動は全国的な傾向とは別に、地域ごとに異なる事情が絡んでいます。
価格上昇に潜む社会的な問題
砂糖は調味料としての利用だけでなく、加工食品・外食・製菓業界にとっても必需品です。価格の上昇は、以下のような影響をもたらします:
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1人暮らしや低所得層の家計への負担増
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加工食品価格への波及
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菓子業界・飲料業界のコスト圧力
また、価格が上昇する1方で、消費者の健康志向が高まる中、砂糖の消費量そのものが減少傾向にあることも課題です。こうした中、業界は「代替甘味料」や「低糖食品」など新たな方向性を模索しています。
今後の価格見通しと期待
今後の砂糖価格の推移は、以下の3つの主要要素に影響されると見られます:
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国際市場の動向:主要輸出国であるブラジルやタイの生産量、インドの輸出規制、さらにはエネルギー需要と連動したエタノール政策などが国際価格に影響。
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為替相場:円安が進行すれば輸入コストが上昇し、国内価格の上昇圧力につながる。
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気候変動と災害リスク:異常気象によるサトウキビ収穫への打撃は、中長期的な価格の不安定要因。
ただし、政府による価格安定化策や備蓄制度、国内製糖業者の効率化がある程度の歯止めをかける可能性があります。
まとめ
砂糖1kgの小売価格は、経済構造・流通・気候といった複合的な要因の影響を受けて変動してきました。今後は、より安定的で持続可能な供給と価格形成を目指す取り組みが重要になります。消費者としては価格だけでなく、使用量や選択にも注目することが求められる時代に入ったといえるでしょう。
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