春夏中級スーツ価格動向｜都市別特徴と価格上昇の要因分析

2025年5月の女性用春夏中級スーツの平均価格は5.161万円で、前年比-2.279%の小幅下落。高松や神戸などでは高価格帯が堅調だが、佐賀や名古屋では値下がり傾向。高品質志向と価格競争が都市間で分化しつつあり、今後も二極化が進む見通し。

2025年5月時点での女性用春夏中級スーツ1着の全国平均価格は5.161万円です。前年同月比では-2.279%の下落が見られ、全体としては微減傾向にあります。ただし、都市ごとに見ると価格の増減が激しく、高級志向とコスト志向が併存する市場構造が浮かび上がります。

都市別価格と地域分布

上位10都市における価格は以下のとおりです。

高松市が最も高額で6.71万円に達し、次いで静岡・盛岡・徳島・佐賀が同額で6.05万円と続いています。1方、全国平均に対して価格を下回る都市も多く、全体的には価格帯の幅が広い状況です。

地域ごとの価格変動の特徴

高価格帯都市に共通する点

高松や神戸、盛岡、徳島などの都市では、地場百貨店での取り扱い商品が中高価格帯に集中していることが要因の1つです。とくに神戸（+22.73%）は前年比で突出した伸びを見せており、これは観光需要回復や百貨店回帰の傾向、また高品質な国産品の人気回復が影響しています。

値下がり傾向の都市

佐賀（-9.836%）や長崎（-5.263%）、名古屋（-5.164%）では、量販型チェーンの出店増加やセール競争によって平均価格が下落。中級スーツの中でも廉価版への移行が起きている可能性があります。

横ばい〜微増の地域

福井（+5.051%）や盛岡（+5.769%）では、価格が小幅に上昇。地域住民のスーツ着用文化が1定程度根強く、品質に見合う価格を支払う層が維持されていると考えられます。

価格高騰・下落の要因分析

▷ 上昇要因

• 高付加価値素材の採用（通気性、ストレッチ、UVカットなど）

• 円安による輸入原材料費の上昇

• 国内縫製・小ロット生産への移行

• 富裕層需要・都心百貨店回帰の影響

▷ 下落要因

• 量販店のPB商品拡大

• リユース・レンタルスーツの台頭

• 在庫処分セールやアウトレット販路の強化

• 若年層のカジュアル化による需要縮小

今後の見通し

春夏スーツ市場は今後、「高級志向と実用志向の2極化」が進むと見込まれます。リモートワーク定着によりビジネススーツの需要そのものが減る1方、リアルでの会合やフォーマルイベントでは良質なスーツへのニーズが1定水準で維持されるでしょう。

特に中級帯の商品は、「コスト重視のユーザー」と「品質重視のユーザー」が混在するため、都市によって価格動向がさらに乖離する可能性があります。