2025年3月時点、日本の月間水道料金(20立法メートル使用)の平均は2,856円。最も高いのは八戸市で4,961円、最も安いのは豊橋市で1,507円と、地域間で大きな格差がある。高額地域では山間部や人口減少の影響、安価地域では経営効率の高さが背景にある。今後は設備老朽化と広域化の進展により、料金見直しの動きが加速する可能性がある。
小売物価統計
1カ月20m3使用の水道料金の高い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 八戸 | 長崎 | 佐世保 | 福島 | 札幌 | 長野 | 松江 | 仙台 | 佐賀 | 山形 |
最新値[円] | 2856 | 4961 | 4515 | 4195 | 3718 | 3652 | 3630 | 3597 | 3553 | 3520 | 3509 |
平均比[%] | 100 | 173.7 | 158.1 | 146.9 | 130.2 | 127.9 | 127.1 | 125.9 | 124.4 | 123.2 | 122.9 |
前年同月比[%] | -0.0877 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
1カ月20m3使用の水道料金の低い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 豊橋 | 函館 | 伊丹 | 大阪 | 所沢 | 浜松 | 北九州 | 富士 | 福井 | 柏 |
最新値[円] | 2856 | 1507 | 1958 | 1980 | 2112 | 2134 | 2156 | 2200 | 2222 | 2255 | 2266 |
平均比[%] | 100 | 52.76 | 68.56 | 69.33 | 73.95 | 74.72 | 75.49 | 77.03 | 77.8 | 78.95 | 79.34 |
前年同月比[%] | -0.0877 | 0 | 0 | -18.55 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
水道料金の推移


詳細なデータとグラフ
水道料金の現状と今後
2025年3月時点において、日本の月間水道使用量20立方メートルに対する平均料金は2,856円となっている。しかしながら、地域間での料金格差は顕著である。最も高額な八戸市では4,961円に達し、平均の約1.74倍。一方で、最も安価な豊橋市では1,507円と、平均の約53%にとどまる。
高料金地域の特徴と背景
高料金地域には、八戸(173.7%)、長崎(158.1%)、佐世保(146.9%)、福島(130.2%)、札幌(127.9%)などが挙げられる。これらの地域では、以下のような要因が影響している:
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水源からの距離が長く、配水にコストがかかる
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山間部に位置し、インフラ整備に多額の費用がかかる
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人口減少により水道使用者が減少し、コストが分散されにくい
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老朽化した施設の更新費用が料金に反映されている
特に、八戸や長崎などは、人口規模が中規模でありながら山間部と海に囲まれた地理的特徴を持ち、水道施設の維持に多大なコストを要している。
低料金地域の特徴と背景
一方、豊橋(52.76%)、函館(68.56%)、伊丹(69.33%)、大阪(73.95%)などの地域では、全国平均を大きく下回る料金水準にある。これには以下のような理由が考えられる:
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大都市や近郊都市で、人口密度が高く効率的な配水が可能
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広域水道事業によるスケールメリットがある
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古くから整備された水道インフラを活用しており、更新頻度が比較的低い
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地方公共団体の補助や企業団方式による経営安定化が図られている
大阪や所沢、浜松といった都市は、交通や商業インフラが発展しており、水道事業も効率的な経営が可能な体制となっている。
料金差がもたらす課題
このような地域間の料金格差は、住民の生活負担の差として顕在化し、移住や定住の意識にも影響を及ぼしている。また、「地方の水道料金が高く、都市部が安い」という構図は、地域格差の一因ともなっている。高齢化や人口減少が進む中、地方都市では水道事業の維持そのものが困難になるリスクも指摘されている。
今後の水道料金の展望
日本の水道事業は今後、大規模な設備更新時期を迎えるとされており、全国的に料金の見直しが進む可能性がある。将来的には以下のような動きが想定される:
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広域連携による水道事業の統合と効率化
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民間企業の参入による経営改革
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使用者負担の見直しと段階的な料金改定
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節水技術やスマートメーターの普及によるコスト削減
これにより、現状の料金格差を是正しつつ、持続可能な水道サービスの維持が期待される。
まとめ
水道料金は生活の基本コストであり、住民の暮らしに直結する重要な指標である。日本全体としては料金水準の維持と公平性が求められており、特に地方都市における持続可能な料金体系の構築が喫緊の課題である。今後の政策動向と自治体の取り組みに注目が集まる。
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