2025年4月時点で九州の1か月あたりの平均電気料金は1.265万円で、前年同月比+5.579%と急激な上昇が見られます。那覇は1.471万円と突出して高く、他の地域(1.242万円)との差が顕著です。2015年以降の安定した価格推移から一転し、最近は燃料価格の変動や再エネ賦課金の影響が目立ちます。今後は再エネ普及と需給バランス改善が鍵となるでしょう。
小売物価統計
電気料金の高い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 那覇 | 鹿児島 | 長崎 | 福岡 | 熊本 | 宮崎 | 大分 | 北九州 | 佐賀 | 佐世保 |
最新値[万円] | 1.265 | 1.471 | 1.242 | 1.242 | 1.242 | 1.242 | 1.242 | 1.242 | 1.242 | 1.242 | 1.242 |
前年同月比[%] | +5.579 | +4.446 | +5.73 | +5.73 | +5.73 | +5.73 | +5.73 | +5.73 | +5.73 | +5.73 | +5.73 |
電気料金の安い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 佐世保 | 佐賀 | 北九州 | 大分 | 宮崎 | 熊本 | 福岡 | 長崎 | 鹿児島 | 那覇 |
最新値[万円] | 1.265 | 1.242 | 1.242 | 1.242 | 1.242 | 1.242 | 1.242 | 1.242 | 1.242 | 1.242 | 1.471 |
前年同月比[%] | +5.579 | +5.73 | +5.73 | +5.73 | +5.73 | +5.73 | +5.73 | +5.73 | +5.73 | +5.73 | +4.446 |
九州の推移


詳細なデータとグラフ
九州の電気料金現状と今後
2015年から2020年にかけて、9州地方の電気料金は比較的安定して推移していました。9州電力は、川内原発や玄海原発の再稼働による安定供給を背景に、火力発電に依存しすぎない体制を取り、他地域に比べて電気料金が低水準に抑えられていたことが特徴です。
しかし、2021年以降、燃料費調整制度の影響や世界的なエネルギー価格の高騰が重なり、じわじわと料金が上昇傾向を見せました。特にロシア・ウクライナ戦争によるLNGや石炭価格の乱高下が、間接的に家庭の電気料金に跳ね返っています。
2025年4月の地域別電気料金の現状分析
2025年4月時点での9州の1か月平均の電気料金は1.265万円となっており、前年同月比で+5.579%の上昇です。この上昇率は中国・4国地方(+1.87%)と比べても顕著に高く、家庭のエネルギー負担増加が深刻化しています。
特に那覇市は1.471万円と突出しており、福岡や北9州、鹿児島などの1.242万円と比べても約1,000円以上の差があります。これは、沖縄電力と9州電力の供給体制や、離島コストの反映、設備更新コストの差が要因とみられます。
1方、他の9州内地域(佐世保、佐賀、大分など)ではすべて1.242万円と均1化されており、広域的な価格調整が進んでいる様子もうかがえます。
現状の問題点と地域格差
那覇の高騰が象徴するように、離島部における電力供給コストは高く、燃料輸送費や保守費用の増加が価格に転嫁されています。また、再エネ賦課金や送配電インフラの老朽化も加わり、利用者にとっては実感以上の負担増となっています。
さらに、地域間の価格差が浮き彫りになっており、電力自由化の影響が地方においては未だ限定的で、実質的には選択肢が少ない状況です。特に那覇のような地域では、地域電力会社からの供給が中心であり、競争原理が働きにくい現実もあります。
今後の電気料金の展望と政策的対応
今後の9州の電気料金の推移は、以下のような複数要因によって左右されると考えられます:
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再エネ導入の加速と需給バランスの改善9州は太陽光発電の導入が進んでおり、昼間の電力供給は全国でも比較的豊富です。これをバランスよく地域全体で活用できれば、火力依存を減らし、価格抑制に寄与します。
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需給調整市場や容量市場の活用電力の価格は短期的な需給で大きく変動します。今後、需給調整を担う制度の柔軟運用や、ピーク需要抑制のインセンティブ政策によって、家庭の負担軽減につながる可能性があります。
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電気料金の透明化と選択肢の拡充地域間格差を解消するには、電力会社の料金体系の見直しと、乗り換えのしやすさを促す制度設計が必要です。特に那覇のような価格が高い地域では、選択肢を増やすための規制緩和が期待されます。
家庭と自治体の対応の方向性
電気料金の上昇に対して、家庭レベルでは節電意識の向上と省エネ機器への切り替えが不可欠です。エアコンや冷蔵庫などの更新は初期コストがかかるものの、長期的な削減効果が見込まれます。
また、自治体レベルでも、太陽光や蓄電池導入への補助金制度の拡充が今後の電気料金上昇を和らげる対策となります。特に地方部では、地域分散型の電力供給体制への転換が求められています。
まとめ
9州の電気料金はここ数年で大きく変動し、特に2024年〜2025年には急激な上昇が目立ちます。地域間での価格差、特に那覇の高水準は構造的課題を示しており、今後の政策や市場設計の改善が重要です。再生可能エネルギーの積極導入や電力自由化の推進により、持続可能かつ公平な電気料金の実現が期待されます。
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