世界のさくらんぼ生産は2023年に2.964Mtとなり、トルコが生産量・成長率ともに首位を維持。チリは輸出型で安定、アメリカは前年比58%増と大幅回復。中央アジアや中東も台頭する一方、スペインなど一部欧州諸国は気候影響で減少。今後は気象変動対策や品質向上が鍵を握ります。
生産量のデータとグラフ
さくらんぼ生産量の最大と最新
世界 | トルコ | チリ | アメリカ | ウズベキスタン | イラン | ギリシャ | スペイン | |
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最新 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 |
最大期 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2009年 | 2023年 | 2002年 | 2023年 | 2021年 |
最新値[Mt] | 2.964 | 0.7368 | 0.4653 | 0.3214 | 0.2189 | 0.1449 | 0.1136 | 0.1045 |
最大値[Mt] | 2.964 | 0.7368 | 0.4653 | 0.4018 | 0.2189 | 0.6539 | 0.1136 | 0.1258 |
前年比[%] | 6.126 | 12.31 | 0.07489 | 58.67 | 0.9222 | 37.47 | 33.51 | -9.994 |
全体比[%] | 100 | 24.86 | 15.7 | 10.84 | 7.385 | 4.888 | 3.832 | 3.525 |
これまでの推移


詳細なデータとグラフ
さくらんぼ生産量についての推移と展望
1961年以降、さくらんぼの世界生産量は着実に増加し、2023年には2.964Mt(メガトン)に達しました。前年比6.126%増と高い伸びを見せており、果物市場の中でも一定の存在感を持ち続けています。気候変動や市場の需要変化に左右されながらも、主に温帯地域での栽培が中心です。
トルコの圧倒的なリード
トルコは0.7368Mt(世界の24.86%)を生産し、名実ともに世界一のさくらんぼ生産国となっています。前年比も12.31%増と好調で、気候条件の適合性に加え、品種の多様性や輸出基盤の強さが背景にあります。ヨーロッパや中東への輸出が安定した収益を支えており、今後も堅調な拡大が見込まれます。
南半球の主力・チリの安定性
チリは0.4653Mt(15.7%)と、トルコに次ぐ第2位。前年比はわずか0.07489%の増加と停滞していますが、これは南半球の生産タイミングを活かした北半球市場への冬季輸出という独自の戦略が背景にあります。アジア市場(特に中国)での需要が高く、高品質な輸出型さくらんぼが評価されています。
アメリカの回復と波のある成長
アメリカは0.3214Mt(10.84%)を生産し、前年比は58.67%増という大幅な回復を見せました。2022年の不作からの反動増であり、気候変動による不安定な収穫が今後の課題です。カリフォルニアやワシントン州を中心に栽培されており、国内消費と高単価の輸出市場を両立させています。
中央アジア・中東の成長地域
ウズベキスタン(7.385%)、イラン(4.888%)は、比較的安価な労働力と気候条件を活かして生産量を伸ばしています。ウズベキスタンは前年比0.9222%増、イランは37.47%増と好調。今後はインフラ整備と輸出体制の確立が鍵となります。
ヨーロッパ諸国の課題と停滞
ギリシャ(3.832%)とスペイン(3.525%)はEU内での主要生産国ですが、スペインは前年比-9.994%と生産量を減らしました。高温や干ばつの影響が指摘され、地中海沿岸の気候変動が直接的な影響を与えています。一方、ギリシャは前年比33.51%増と好調でしたが、収益性の確保と人手不足への対応が課題です。
今後の展望と課題
さくらんぼは気候への適応度が高くはないため、気象リスクの影響を受けやすい果物です。また、熟期が短いため収穫・流通のスピードと冷蔵インフラの整備が欠かせません。今後は耐候性品種の開発、スマート農業の導入、輸出先の多様化が重要になるでしょう。また、品質重視の高付加価値型戦略を取る国が市場で優位性を確保する可能性があります。
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