きゅうりの都市別価格ランキングと推移分析:高騰と地域差の背景

きゅうり



きゅうりの卸売市場価格は都市ごとに大きく差があり、2025年4月時点でいわき市が593円/kgと全国最高値。一方、熊本市は221円/kgと最低水準。都市別では価格高騰が目立つ地域も多く、特に北日本や一部中部都市で急騰傾向。物流費や産地の偏在、天候影響が地域差を拡大。今後も気象条件と燃料費動向が価格に大きく影響する可能性がある。

きゅうりの卸売り市場価格

きゅうりの高い順

いわき市 室蘭市 高岡市 柏市 函館市 市川市 沼津市 下関市 呉市 上尾市
最新 2023年12月 2011年12月 2011年12月 2011年12月 2016年12月 2011年12月 2016年12月 2011年12月 2011年12月 2016年12月
最大期 2020年1月 2011年12月 2011年12月 2011年12月 2011年12月 2011年12月 2014年12月 2011年12月 2011年12月 2015年12月
最新値[円/kg] 593 567 553 544 533 526 513 509 499 490
最大値[円/kg] 727 567 553 544 606 526 577 509 499 551
前月比[%] +73.9 +32.79 +46.3 +50.69 +13.16 +44.51 -0.1946 +49.71 +35.97 +5.15
前年同月比[%] -6.907 +46.51 +54.47 +42.04 -11.75 +52.46 -9.683 +61.08 +43.39 -11.07

きゅうりの安い順

宮崎市 熊本市 佐世保市 徳島市 山形市 高松市 大分市 松山市 長崎市 盛岡市
最新 2023年12月 2021年12月 2016年12月 2023年12月 2021年12月 2025年4月 2021年12月 2023年12月 2023年12月 2023年12月
最大期 2018年12月 2014年8月 2012年12月 2020年1月 2020年1月 2024年11月 2020年1月 2018年12月 2020年1月 2018年12月
最新値[円/kg] 412 221 389 397 371 273 302 431 416 441
最大値[円/kg] 657 494 499 516 706 684.3 598 619 537 595
前月比[%] +68.85 +6.25 -21.57 +31.02 +56.54 -22.07 +11.85 +47.6 +62.5 +34.45
前年同月比[%] -33.23 -1.778 -5.353 -15.71 +8.48 -28.28 +4.861 -15.16 -15.45 -12.85

 

きゅうりの推移

きゅうりの市場価格
きゅうりの市場価格

 

その他のデータとグラフ

 

きゅうりの価格についての推移と展望

きゅうりの卸売価格は、年間を通して季節変動が激しい野菜の一つです。2008年からの長期データを俯瞰すると、全体的なトレンドは穏やかな右肩上がりにあるものの、近年は極端な高騰や下落が頻発しており、市場の不安定化が進んでいます。これは主に以下の要因によります。

  • 天候異変の頻発(高温・豪雨・干ばつ)

  • 生産者の高齢化や離農

  • 燃料費・資材費の高騰によるコスト増

  • 輸送・物流の不安定化

これらの要因が複雑に絡み合い、地域によって価格の上下が大きく分かれています。


2025年4月の価格ランキングと地域ごとの差異

最新データでは、いわき市(福島県)で593円/kgと非常に高値を記録し、全国トップとなっています。以下、室蘭市、高岡市、柏市、函館市と北日本や北関東を中心に価格が高い傾向が見られます。

一方で、熊本市(221円/kg)高松市(273円/kg)のように、九州や四国の一部では価格が抑えられています。これは以下の要因が考えられます:

  • 生産地が近く、輸送コストが低い

  • 地場消費が多く、流通構造が短い

  • 出荷量が安定しており、需給バランスが取れている

このように、北と南で価格帯に大きな差があるのが日本のきゅうり市場の特徴です。


前月・前年からの変動とその意味

前月比で大幅上昇した都市

  • いわき市(+73.9%)

  • 柏市(+50.69%)

  • 下関市(+49.71%)

これらの都市では、急激な価格上昇が確認されました。特にいわき市はほぼ1.7倍の高騰で、短期間に流通量が大きく減った可能性や、病害虫・天候不良による供給不安が背景にあると推察されます。

前年同月比での注目点

  • 高岡市(+54.47%)

  • 市川市(+52.46%)

  • 下関市(+61.08%)

これらの都市では、昨年に比べて長期的に価格が高止まりしています。これは一時的な高騰ではなく、構造的な供給不足地域の市場競争力低下が原因かもしれません。

一方、宮崎市(-33.23%)など、南日本では前年同月比で大きく下落しており、豊作や出荷増が背景にある可能性があります。


地域別の価格構造と特色

高価格地域(東日本・北日本)

  • 冬期の栽培が難しく、暖房・施設投資が必要

  • 物流距離が長く、輸送費が嵩む

  • 地元生産が少なく、他地域依存度が高い

低価格地域(九州・四国)

  • 気候が温暖で通年栽培が可能

  • 地場の直売・流通網が発達

  • 収穫時期がずれ、市場への供給が集中しにくい

このように、日本列島の気候帯と市場構造の違いが価格に明確に表れています。


今後の価格推移と展望

今後のきゅうり価格は、気象条件と燃料費が引き続き最大の変動要因です。特に2025年夏に向けて猛暑予報が出れば、水分を多く含むきゅうりは枯死リスクが高く、生産量減→価格高騰という流れが想定されます。

また、温室栽培を支える資材・エネルギーコストが下がらない限り、高値傾向は続くと見られています。加えて、輸送コストの上昇も地域格差を拡大させる方向に働く可能性があります。


まとめ:日本のきゅうり市場は「地域格差」と「コスト圧力」が焦点

きゅうりの卸売価格は、地域ごとの気候や流通構造、生産体制によって大きな差が生じています。今後の政策としては、地域間の物流効率化や、施設園芸への補助金強化が鍵となるでしょう。消費者にとっても「産地と時期を意識した買い物」がますます重要となる時代です。

 

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